2019年11月13日水曜日

弁明と決意ー2020年度のゼミについて

ゼミの選考を終えてから、ずっと悩んでいました。いつもはすぐ、講評をまとめるのですが、今年は忙しいだけじゃなく、一言も書けませんでした。

人を選ぶというのは、必然的に選ばれない人を生み出します。今年の選考では、まじめでよい学生ばかり申請してくれており、しかも申請者の男女バランスもほぼ取れていました。そういう意味では、本来ならば、全員を合格にしてあげたかったです。

結果的には20名。プレゼミ生からの合格者の数を考慮すると、外からの申請者にとっては極めて厳しい選考になったと思います。本当に申し訳ございません。

選ばれなかった学生に何ができるだろうか、とずっと考えていました。選ばれた学生には素晴らしいゼミを提供したいですが、ゼミに参加できない人と一緒に、できたら何かをしたい。僕であれば、学生連合での活動とかで、ゼミと同様、ないし、それ以上の楽しい学びを提供できないかな、って思っています。

切れ味が悪いのは、本当に悩んでいたからです。
楽しいゼミ、学連にしたいと思います。

2019年10月14日月曜日

負けそうな案件で挽回の道筋を見つけて、実行できる?

ゼミの応募が締め切られました。たくさんの方々に応募していただき、本当にどうもありがとうございました。選考前なので、あまり、僕の思いは書けないのですが、心から感謝申し上げます。

週末に「Goliath:ビリー・マクブライド」のサードシーズンを見終えて、いろいろと考えさせられました。クライアントの最善の利益を叶えているのかどうか、それは常にチェックしなければならない。独りよがりにならず、一生懸命にクライアントの利益を具体化し、実現する。それがもし、クライアントにとって望ましくなければ、やはり、この案件を受けてはいけないし、別な形を模索しなければならない、ということです。

僕がゼミで意識しているのは何だろうって考え尽したとき、やはり、究極、負けそうな案件でどこまで挽回できる法理論、法解釈、法実務を見出せるのか、それを学生に学んでほしいんだな、って気づきました。そこには、抽象的だったり、中立的な法はなく、自分の側に「法」と「事実」を手繰り寄せて、どうせ負けるにしても最小限の負けを、もし勝てるなら何とかして合法的に勝つ方法を見つけ出す、そういう営みです。知り合いの弁護士に聞いたら、そんなの、司法修習所でも教えてないって(笑)。経験によって初めて培われるものだって言ってました。でも、僕は、これを少しでも学べないなら、法学を勉強する意味ってほとんどない気がします。

プレゼミでさよならになる学生にも、最低限、法律を学ぶ楽しさを知ってもらいたい。それができたら、僕の役割は終わりですね(笑)。勝てる事件か負ける時間かを客観的に分析できるのは、ある意味で当たり前。それができないよりは、できた方がいい。でも、その先にこそ、法律の面白さはある。それを知って、プレゼミを終えたいなって思いました。

2019年10月1日火曜日

難しければ、やめる?

昨日は、第一回目のオープンゼミでした。貴重な時間を割いてお越しいただいた皆様、どうもありがとうございました。

正直、これ以上ないくらい難しい問題にしたかもしれません。大学院生並みのリーガルリサーチの問題。でも、ニュースで取り上げられた、まだ誰も答えを知らない問題でも、自分で調べたら答えに近づけるんだ、っていう経験をしてもらいたかったのです。それが、僕のゼミそのものだから。

合わない人が来ても辛いし、ゼミ、時間の無駄になっちゃいますよね(笑)。そういう人は、延々とレジュメを作り、延々とディベートをすればいい。僕は、そこに価値を感じていないんです。申し訳ないのですけど。僕は、調べて、自分の頭で考えて、自分の属する組織のために最善を尽くせる人になってほしい。違法な行動があるなら、それをうまく回避できる人になってほしい。そう願っています。今の法学教育の先に、それができるようになるのかって考えてしまうのです。

僕はアメリカのロー・スクールに幸運にも行かせていただいて、だから、自由に考えられるようになりました。判例や学説に縛られすぎないで、それらを単に利用する。それってなかなか難しい。

難しいからやめよう、別なゼミに行こうというのはぜんぜんあり。その方が幸せかもしれないです。ぜひ、他のゼミも吟味してみてください。

昨日は、本当にどうもありがとうございました。

2019年9月27日金曜日

オープンゼミで何を感じる?-すべては見れない現実がある

もうすぐ、オープンゼミの1回目です。まだ、内容は決めていません。すごく悩んでいます。僕のゼミでは、すべての2年生にグループワーク等に参加してもらうので、そのつもりでいらしてくださいね。お待ちしています。

ゼミ生が動画で、「僕のゼミは1時間半だけで課外活動がない」ってことを殊更に強調していました(笑)。事実なんですけど、僕は違う表現を使いたいです。僕が1時間半に「こだわる」のは、凄く長い時間準備して、1時間以上もプレゼンの時間を与えてもらえる機会は学生の時しかないからです。社会に出たら、瞬間瞬間が勝負。目の前の案件を締め切りの中で片付けないといけません。何より、就活が良い例ですけど、勝負はグルディス、面接でしょう。エントリーシートには時間をかけられても、それだけで採用が決まるわけではない。現場がすべてです。現場で力を、もっと言えば「全力」を発揮する訓練が必要だと思うから、あえて、課外でいろいろやらなくてもいいって言っているんです。楽させる意味ではなく、課外でどれだけ努力しても、当日がだめなら無駄でしょってことなんです。僕が経験してきたゼミは、担当回だけのために存在しているものがほとんどでした。それだと、残り14回は無駄になってしまう。まして、準備して長大なレジュメを作成しても、誰も読まないし(笑)、大事なことなんてせいぜい数行でしょう。自分の意見や議論が大事なのに、過去の判例学説の整理、理解にばかり気を取られてしまう。

オープンゼミでは、楽なんだということより、1時間半でどこまでやれるのか、やりきるのかということを感じていただきたいと思います。真剣勝負の1時間半。リーガルエンタメ、だと僕は思っているんだけど(笑)。

逆に、正直に認めますけど、オープンゼミでわからないところ、見えないところもあるはずです。皆、お化粧してオープンゼミを開くでしょうし、見られたくないところは隠すでしょう。僕のゼミでは、皆に参加してもらうのであまり隠せないのですが(笑)、それでも見えない部分がある、その点はご理解いただければと存じます。

僕も全力でやります。ゼミ生もです。
ぜひ、関心があったらお越しくださいませ!

2019年9月23日月曜日

最初も肝心?ゼミの個別説明会で感じたこと

僕は、最初から最後まで会場にいましたけど、話しかけても何も言わない2年生や、いや、(女子or男子)学生とだけ話すんでいいです、ってムスッとしている2年生、いろいろいましたね(笑)。何が言いたいかというと、そんな学生って僕のゼミはともかく、他のゼミにも入れるのかなっていうことです。最初の印象って、意外に残るんですよ。ゼミ選考でも、就活でも。駄目でもいいやなら、土曜日の貴重な時間をわざわざ割かなければいい。僕だって、休みを割いて出てるし、ゼミの学生だってそう。

ゼミの選考は重要だから、僕はすべての時間、あの場にいるわけです。来てくれた学生のことも大事に、平等に扱っています。誰かだけに何かを与えるのではなく、皆に、同じように接しています。そこでの反応が、上記のように悪い意味で突出していたら、まあ、評価に響きますよね。当たり前ですけど(笑)。覚えてないかって言えば、まあ、顔は覚えちゃうよ(笑)。さすがに印象深い対応だし。

個別説明会、僕は大事にしています。ほかのゼミやほかの先生はわからないけど、僕の第一印象、ゼミの第一印象だと思っているから。ゼミ生に指摘されてそうだなって思ったら、自分の見解を訂正したりする。それは僕の特徴の1つだと思います。あとなんでしょうね、学生に合わせて話してあげたいなとは思って、時間を使っていました。結構あっという間でしたね。

終わったしまったこと、やってしまったことは仕方ない。覆水盆に返らずなんで。あとは、先を見据えてください。僕のゼミでも、他のゼミでも。自分の行動は、意外と見られているものですよ。

Bygones!

2019年9月20日金曜日

ゼミの個別説明会 in 2019

2019年9月21日は、ゼミの個別説明会ですね。早いなぁ。
ゼミの選考は、就活に似ています。明日、21日から活動解禁ですね(笑)。

オープンゼミだけで決めてもいいし、個別説明会だけで決めるのもあり。
もちろん、何にも出ないで決めるのもいいけど、ミスマッチを避けるためにも、僕はできたら、できるだけ多くの機会を活用してもらいたいと思っています。

貴重な土曜日ですけど、それは僕らも同じ。やる気のある面子で、皆さんをお待ちしております。もし、お時間が許しましたら、お立ち寄りください。



2019年9月18日水曜日

最後が肝心

仕事をしていると、もういいやって思える瞬間があります。疲れたし、それなりに頑張ったしって思ってしまいますね。でも、本当はそこからが勝負。最後の最後まで頑張れた人が評価されますよ。

プロトコールやフォーマットがあれば、誰だって一応のことはやれます。最悪、AIに代替されてしまうかもしれない。大事なのは、まだだれもやっていないような案件とか、これまでと似ているけど少し違う案件。違うから、同じやり方ができないっていう場面こそ、本領発揮でしょう。逆に言えば、毎回の案件をそのたびごとに(少しずつ)違うものとして意識できる人は強いでしょう。

惰性で最後を進むより、手を思い切って振り、足がちぎれるくらい走り切った方がよい。
僕はそう思います。そこまでやって駄目なら、最初から何か間違ってますよ。あなたのせいじゃないかもしれない(笑)。

試験でも勉強でも就活でも同じです。
頑張りましょー。

2019年9月16日月曜日

ギヤはそんなに簡単に変わらない!?

ゼミに入って「法律バカ」になってほしいと、僕はぜんぜん思っていません。法律に詳しくても、就職できるわけじゃないし(笑)、そもそも、問題を解決できるわけでもない。それだけは、ぜったいに間違えてはいけない、はき違えてはいけない、と思っています。

3年生の後期になると、否応なしに就活を意識し始めます。行きたい企業、自分のありうべき未来を考えて、それに向かって努力する人が増えます。それは、ぜんぜん悪いことじゃない。でも、人間、そんなに簡単に変われないです。ギヤを変えて就活モードにってそんなに楽じゃないし、なかなかできないんですよ。確かに、就活テクは学べるし、プレゼンも上手くはなる。それでもダメなものはダメなんです。人間としての魅力、一緒に働きたいと思ってもらえるかどうかは、一筋縄ではいかないから。数か月で魅力的な人間になれるならいいんですけど、そんなはずないので(笑)。

僕のゼミに入ったから魅力的になれるなんて、僕はぜんぜん思っていません。僕が伝えられるのは、法的な知識を蓄えても、ぜんぜん魅力的にはなれないし、一緒に働きたいとは思ってもらえないってこと。所詮、法的な知識は「知識」でしかない。ないよりはましだけどそのままでは使えないし、所詮は過去の話をどのくらい覚えているかだけ。それに長けた人、過去しか重視できないヒトなんて魅力に欠けるって思いませんか?

皆で一緒に一生懸命考えたり、手足を動かして何かを作り上げられる人、そこで法的な知識、マネジメント能力、感謝、謝罪ぜんぶ駆使できる人、そっちの方が僕は好きですし、そういう人がゼミ生であってほしい。実際はそうでもないんだけど(笑)。

ゼミの選考がそろそろはじまりますけど、僕は「法律バカ」を採用したいとは思いません。成績の良さだけより、センスを問いたい。法律の限界を知り、その限界を何かで補って世界を少しでもよくできるような人と、一緒に二年間勉強したいんです。お互いに、まだ伸びる可能性を信じて。

ギヤはそんなに簡単に変わらないから、日々、大事にしませんか?
4年なんて、意外とあっという間ですから(笑)。




2019年9月12日木曜日

ゼミ合宿2019、終了!

ゼミ合宿、無事に終えました。参加者は半分くらいで少し寂しくもありましたけど、楽しかったです。

ゼミ合宿って何のためにやるんでしょうね。それは、ゼミ生間の親睦を深めるため、では
あるんですけど、僕はそれ以外も考えています。臨機応変な対応力を磨くってこと。ゼミ合宿って、予想外のことばかり起こります。それは、事前の準備が足りていないせいもありますが(笑)、多くの学生が一緒に行動すれば、必ず何かしら起こるからです。答えはないし、話し合う時間もあまりない。どうやって解決するか、何を答えにするか、それってゼミでいっつもやっていることなんですよね。対象が法律問題か、そうでないかを別にして。

毎年、ゼミ合宿ではふだん扱わないような問題を皆で議論しています。合宿に来た人だけが扱えるってことです。毎年、珠玉の問題を考え抜いて合宿に持ち込んでいます。

ゼミ合宿のよさは、普段見られない学生の姿を知れるってことですかね。よい面も、悪い面も。それは逆も然りで、僕の普段見せられない姿も晒すってことです。そういう機会を経て、人って少しずつ、仲良くなれるんじゃないかなって思います。

ゼミ合宿、準備してくれた学生に心から感謝します。
本当にどうもありがとうございました!



2019年8月18日日曜日

Do you work for whom?ー『弁護士ビリー・マクブライド』(Goliath)

前期の講義やゼミが終わって、採点をして、今は別な仕事に追われています。お盆や夏休みという感覚がなくなって久しいです。

前期はいろいろと苦しくて、途中からこのブログを書く余裕がまったくなくなってしまいました。

書く元気も、気力も、意思もなくなっていたのに、こうして書いているのは、『弁護士ビリー・マクブライド』(Goliath)というドラマのおかげです。1シーズンを見終えました。面白いです。日本のリーガルドラマにはない世界が、そこには描かれています。常にギリギリを意識できるか、そんなことを考えさせられました。

法は真空の世界に存在しているわけではなく、人が法を創り、人が事実を認定し、人が事実を法に当てはめて結論が出ます。そこには、法廷であれその外でも、生々しいというか、ドロドロした世界があります。法学部ではほとんど学べないですけどね(笑)。それは、法学部の先生がドロドロに巻き込まれていないからです。一度でも巻き込まれたら、法的な話ってそんなに単純には話せないですし、教科書だけを使って話しても上手には伝わらない気がします。科学実験のように、100回同じような実験をすれば、100回とも同じ結論になるなんてことは、法の世界にはほとんどあり得ない、と思います。100回同じ実験自体、この世界では決して行えないのですから(笑)。

『弁護士ビリー・マクブライド』(Goliath)では、弁護士が依頼人のためだけに働く存在なのだ、ということを嫌というほど見せつけられます。周りの人を傷つけ、周りの人から嫌われ、遠ざけられ、裏切られても、依頼人の最善の利益を実現できればそれでいい。それが弁護士の姿。その一点だけは、ドラマで非情なくらい貫かれています。一般的な企業では必ず取引相手がいて、自社(株主)はもちろんですが相手にも社会にも、利益をもたらすようなスキームを考え出さないと、前には進みません。頭の使い方や、仕事の進め方が少し違うんですよね。(日本の)法学部に4年間もいると、裁判官のように考える癖がついてしまい、自社の利益とか社会的な価値とか将来とか、まったく考慮しなくなっていないでしょうか。

この前、ゼミ生に、「先生の考えは泥臭い」と言われました(笑)。そうかもしれないなぁ、って思いました。でも、僕が泥臭くても(笑)、皆が法の力を、法が道具だということを理解してくれて、それを最大限に駆使できるようになるなら、僕はそれでいいですよ。

『弁護士ビリー・マクブライド』(Goliath)では、「あなたに『情』をかけることはできる。でも、『情』をかけることが違法になるなら、法をおかすことはできない」という一節が出てきます。逆に言えば、法を破らない限りどこまででも、『情け』をかけてあげたいよ。でも、あなたの望みそのものは叶えられないんだ、ということです。要するに、法を勉強するということは、ギリギリの一線を意識しながら、誰かのために最善の利益を実現できるようになることです。公務員ならば国民のために、弁護士ならば依頼人のためだけに、企業の人ならば株主のために。

あなたは、法学部にいて一線、常に意識していますか?誰かのために、何かのために法を駆使できますか?






2019年5月5日日曜日

法学部を面白くできるのかー大学って面白くない場所でいいの?

GWはもうすぐ終わりですね。ゼミについて書くことが多いこのブログで、法学部自体を対象にするのはレアです。ただ、訳あって書きたいと思います。

法学部全体は、ゼミより大きくて触りにくいです(触ると「やけど」しますしね)。ゼミに求められるものは、学生によってさまざまですね。ガチな勉強サークルのようなゼミがあっていいし、そうでないゼミがあってもいい(僕のゼミは、どちらかといえば後者でしょう)。授業要綱によれば、「演習は、各学部の基礎または概要科目で学んだことをもとに、自分自身で研究テーマを見つけ、大学 4 年間の集大成である「卒業論文」作成を目標とする科目」とあるので、これだけ満たせればよい。各教員とゼミ生が意味のあるゼミを毎年作り上げれば、学生もきっと満足してくれるだろう、とは思います。もちろん、ゼミは必修ではないので、入ってくれた人だけがそれぞれのゼミで満足すればよい、という気楽さもあります。そういう意味では、学生にゼミに入ってもらって、その入ったゼミで楽しんでもえらえたら、法学部での大学生活はそれなりに楽しくなるのかもしれません。とはいえ、ゼミは選抜制を導入していることから、全員が希望のゼミに入れないという悲しい現実が付きまといます。

ゼミ自体の面白さは、それぞれのゼミに担保してもらうとして、時間等の関係でゼミに入れないヒトや、入りたかったゼミに入れなかった人にとっても、それなりに満足のいく機会を提供しなくてよいのか、というのが僕の問題意識です。希望のゼミに入れた人にしてみれば、入れない学生は運が悪い、努力が足りないというかもしれないけど、あなたも入れなかった1人だったかもしれない、でしょ。

希望のゼミに入れなくても、楽しい4年間を過ごしうるような環境を作りたいし、作らないと青学に入ってもらう意味がないのではないか。そう思うわけです。それが何か、って具体的に考えた時に、僕はゼミパート2ではなく、学問そのものではなく学問を使って何か形あるものを作り出しうる環境ではないかな、と考えています。数ある授業やゼミでは、個別法令を学ぶわけですけど、それだけの知識では、新しい何かを作り出すことはできません。知識は映像にはならないし、写真にも文章にもならない。ただの知識で終わります。誰かのために、知識を使って何かを生み出してみる、そこがゼミと違うところです。こういうプロジェクト・ベースド・ラーニングは、就活には直結しますし、何より、何のために法律を学んでいるのかを改めて考えさせられることでしょう。もっとも、時間を割いても誰かと一緒にやってみたいと思わせるプロジェクトが必要になります。単位にもなりませんからね(笑)。

考えているプロジェクトはあります。かなり具体的に考えています。
ただ、僕には学生の気持ちがわからないんです(笑)。学生じゃないしね。

究極的には、法学部がもっともっと学生の手で面白くなって、偏差値とかには表れにくい満足度で、より高く評価されるようになってほしいと心から思っています。


2019年5月3日金曜日

憲法記念日に寄せてー常識は本当に常識?

1947年(昭和22年)5月3日、日本国憲法が施行されたのですね。ウィキペディアのあるように、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)の第2条では、「憲法記念日 五月三日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」とあります。でも、憲法が国の成長にどんな形で寄与するのかって考えたことありますか?平和だから国が成長した、それはそうかもしれないけど、逆に平和でも経済成長率は必ずしも高まらない、という悲しい現実もあります。

今、アメリカ合衆国憲法の統治機構論を教えていて、本当に寄与しているかどうかはともかく、アメリカだったら合衆国憲法におけるチェック・アンド・バランスと権力分立こそが国の(健全な)成長を支えてきた、と信じている人は多いでしょう。幾度の改正を経てもなお、アメリカ合衆国の礎として法的争いを最終的に解決するのが、合衆国憲法です。

チェック・アンド・バランスと権力分立は、日本国憲法にも導入されている考え方です。いわば「常識」です。それ自体は疑いようもない。でも、どのくらい本気で大事だと考えられているでしょうね。日本国憲法を丁寧に読めば、チェック・アンド・バランスと権力分立がアメリカのそれらとはぜんぜん違うものだということはわかります。機能の仕方も、使われ方もぜんぜん違います。よい悪いは別にして(笑)。

問題は、常識を常識として問い直さないでいると、本質的な違いにずっと気づかないで終わってしまうことです。たとえば、条約が法律に勝るというのも、日本で普通でもアメリカでは違います。合衆国憲法では、条約と連邦の制定法は同列。後法が前法を破るだけです。もちろん、条約締結に関する内閣と国会との関係は、合衆国憲法における大統領と上院との関係に似ていますが、それでも衆議院の優越のような発想は合衆国憲法にはないのです。

6月からは就活が本格化というか佳境を迎えますね。常識に踊らされず、常識を常に丁寧に問い直す真摯な態度が、皆さんの成長を生み出すのではないかなって僕は思います。

実は今朝、ヤフーの記事を読んでいて、統治機構論や権力分立についていろいろと考えさせられました。日本国憲法のもとで、国の成長を止めているないし鈍化させているのは何なのかと。なんとなく答えは見つかったのですけど、まだ仮説なので(笑)。

https://news.yahoo.co.jp/feature/1313



2019年4月28日日曜日

法学部って面白い?-学問入門講座に寄せて

先日、青学高等部と横浜英和高等部の学生向けに、講義をしました。「高等学校と大学との接続における一人一人の能力を伸ばすための連携」(高大連携)という枠組みに基づくものです。わたしにとっては、オープンキャンパスを除けば、高校生向けにはじめて講義を提供する貴重な機会でした。お集まりいただいた高校生の皆さん、このような機会を下さった高等部の先生方と青学のご担当部局に、厚くお礼申し上げます。

僕は、法学部って面白いと思います。アメリカには存在しない学部ですし、学部レベルで法学と政治学を広く学べるのは、将来にとって貴重だと思います。もちろん最近は、国政経とか総文など、複合的かつ学際的な学部の方が人気、なんだとは思いますけど、法学部ってそもそも実学で、基礎と応用を兼ねている学部なんですよね。最も古い部類の大学(確か、ボローニャ大学)にも設置されていた学部で、人間の生活や営みと切っても切れない学部なんです。

法律は言葉の学問。法学部を出たら、言葉とルールで食べていく、生きていくんです。言葉を大事にしないヒトには向かないかもな、と思います。赤色って赤でしょうというあなたには、法学の魅力はわからないかもしれないです。赤にもいろいろある。ワインにもいろいろある。血のような赤色って具体化しても、まだ足りない。血のような赤色にもいろいろあるからです。もちろん、ルールに当てはめた時に結果が変わらない違いなら放置してもよいけど、変わるなら言葉の定義を洗い直し、どうやって自分に有利に使いこなすか。そういう学問です。

政治も言葉の学問ですけど、ルールよりパワーが大事です。民主主義の国では、「票」ですね。だから、投票行動や政策形成のプロセスの研究や分野が、最も注目を集めるわけです。票があれば、いや、衆議院の過半数の議席を持つ党は、法律も予算も条約も自由自在に使えるわけで、そこではルールの中身より、自由自在に使える地位こそ重要、だとは思います。

僕は、法と政治をそんなに厳密に切り離して考えていません。主流派の考えではないですけど(笑)、アメリカで一度でも法律を勉強すれば、それは当然。既存のルール(ないしその解釈)で救えないなら、ルールを変えるしかない。ルールの中でも法律を変えようとすれば、国会で票がどうしても必要になる、そして国会で票を集めるにはルールの中身も大事になる、というわけです。

法曹にならなくても、法学部の知識は使えます。企業の営業、総務、公共政策部門でも、公務員としてでも。もちろん、国際公務員でもNPOでもです。

ちなみに、僕より講義がうまい人は法学部にたくさんいます。僕の講義でがっかりした人も、僕だけで法学部を悪く思わないでくださいね。

最後になりますけど、高校生の皆さん、もしよかったら是非、法学部にも関心を持ってください。法学部は、言葉を使う学問の中で最も実学寄りで、凄く面白いですよ。一度、法学部を辞めようと思った僕がいうんだから、ホントです。


2019年4月20日土曜日

基本は難しい?-プレゼンの極意って何だろう。

講義や研究以外の活動が多かった1週間が終わりました。抜け殻みたいに何も残っていないのですけど、ちょっと書き残しておきたいと思いました。

プレゼンは、教わってもすぐにはうまくならない、ってことだけ改めて書き留めておきます。プレゼンの基本は、ネットでも検索できるでしょうし、本でも読むことができます。でも、大事なのは基本の内容ではなく、それを人前で着実に実践できることです。慣れが要りますし、細かい点がプレゼンとして大きな差を生み出します。英語であれば、なおさらですよね。だって、母国語じゃない言語を使って話すわけで、基本を忠実に守ること自体が難しいからです。

話し方は、予想以上に印象に影響します。どんなに頭が良くても、綺麗に話せなければその頭の良さの半分も理解されません。文章も同じです。内容が素晴らしくても、最後まで読んでもらえないで終わることはたくさんあります。

学生の皆さんの吸収力はとても高くて、ちょっと助言したら、格段にプレゼンがうまくなります。今日、僕はそんな場面に遭遇しました。話す内容がほとんど変わらなくても、話し方をちょっと変えるだけで、あんなにも印象が変わるんですよね。皆のプレゼン、もっともっと良くなるんじゃないかな。

プレゼンの究極は、自分の言葉で自分らしく話すこと。そこに至るまでには、基本に基本を重ねてほしいです。わかった気にならないで、プレゼンの練習を繰り返してくださいね。

就活では、臨機応変さや自然な印象がモノを言います。付け焼刃では勝負できません。
急に10分のプレゼンを5分にしたり、急に英語で話したり、急にアナウンスをしなければならなかったり。いろいろな場面で、プレゼンの練習をすることができます。

最後は、やはり相手を見ること。寝てる人がいたらショックですけど、それは仕方ないです(笑)。メッセージの受け手を具体的にイメージして、話すときにはその人を見る。それだけで、メッセージの伝わり方は格段に変わりますよ。メモを見てもいいですけど、必ず顔を上げて、相手に目線を送りましょう。そうすると自然に、本気で相手に伝えたくなります。何が大事なのかを必然的に考えるようになります。

改めて言いますけど、プレゼンの基本を実行するのは難しいです。
だからこそ、何度も何度も、プレゼンの基本を確かめながら、人前で話す機会を作ってください。きっと、プレゼンが劇的にうまくなりますから。

2019年4月16日火曜日

目標を持とうー達成できないところからすべてははじまる?

新学期がはじまりましたね。あっというまに月の半分が過ぎました。それに、1月から考えると、もう4分の1を終えて、3分の1を終えそうな勢いです(笑)。早いですね。

授業をしていたり、ゼミで一緒に学んでいて思うのは、何かしら目標が要るかなっていうことです。目標は、あれば達成しようと努力し、未達なら反省を余儀なくされます。別に、自分で立てて自分で破るのは勝手。それはそうなのですけど、目標がなければ、ただ時間を使うだけです。時間を浪費します。アルバイトでお金を稼いでいるから浪費ではないかもしれないけど、その時間をもし、もっというような機会に使えたら、人生は一変するかもしれないですよね。機会費用の観点からすれば、目標は立てた方がよいです。

よく、就活の前に「何をやりたいかわからない」っていう話を聞きます。僕も、大学生のころはそうだったかな。でも、何をしてお金を稼ぎ、どんな生活をしたいのか、そういう視点で考えてみてほしいです。人生の目標っていうのかな。そこから逆算して、どんな企業に入りたいのか、考えてみたらいいです。意外とですけど、半期でできることは多いですよ。皆さんが思っているよりも。

青学で僕は、最低限いくつかやりたいことがあって、そのうちの多くを実現してしまいました。あとは、本を書くことくらい。それができたら、あとは思い描いていた夢の先になります。少し時間がかかっても、やりとげられてよかったと思います。もちろん、失敗というかいろいろ嫌なことや面倒なこともありましたけど、意外と何とかなるものです。お金儲けとかではぜんぜんないですけど、何より楽しかったし、青学や学生や社会のためにも少しはなればいいなと。

失敗してもいいじゃないですか。就活もそうですけど、ある会社でだめでも、別な会社がある。失敗してはじめてわかることもある。数打てば当たるとは違って、経験でしか学べない、失敗でしか学べないことがあるってことです。失敗が失敗じゃなくて成功の基ってこともある。学生の皆さんには、それを実感してほしいです。一番の希望が手に入らなくても、まだ先はある。人生はまだまだありますから、ご心配なく。これも縁だと思って、前向きに生きましょう。ちなみに、僕はずっとずっと失敗してました。大学生から大学院生のころまではもちろん、社会人になってからも。


2019年4月1日月曜日

記録:シンギュラリティを見据えて働く

シンギュラリティを見据えて働く
「AIが変えたもの、変えていくもの、変えられないもの」

2019年3月14日(木)16:30~18:00
青山学院大学渋谷キャンパス17号館で開催

●塩野誠(株式会社経営共創基盤(IGPI) 取締役マネージングディレクター、株式会社ニューズピックス 社外取締役)
●岡田洋隆(アルファダイン・アセットマネジメント・ホールディングス・リミテッド 日本における代表者)
●福田成美(株式会社セント・フォース フリーアナウンサー




  ―AIの発展によって、人は新しい能力を見つける―


■AIの発展は、人間の可能性や能力を再発見させてくれる好機!
■AIが不得意で、人間ができることを見つけ出し、先回りする!
■怖がるというより、むしろ自分から楽しむもの!
■将棋の羽生善治氏
⇒ AIに負けるかもしれないけど、新しい将棋の指し方を見つけ出して勝てたら、AIが知らない、人がまだ見たことのない世界に到達できる!(See 高川武将「羽生善治が「あえて不利な手」を指す理由」プレジデントオンライン(2019年1月10日), available at https://president.jp/articles/-/27216)
⇒ AIが知らない世界を、人間は先に見ることができる!
■投資の神様、バフェット氏だって失敗する
⇒逆に言えば、どんな人だってAIの時代に自ら対応しないと、損をしてしまう?
■リスクのない世界はないし、リスクがないところにリターンはない!
■だからこそ、AIの可能性と限界を知ろうとする努力が大事!

 (写真はすべて、フォトグラファーの今祥雄氏によるものです。)




















 


2019年3月29日金曜日

偶然を少しでも必然に近づけられる?

偶然と必然っていう言葉を並べられて、次の本を想起する人は、ちょっとほかの人とは違う人ですね。

ジャック・モノー (著), 渡辺 格 (翻訳), 村上 光彦 (翻訳)『偶然と必然―現代生物学の思想的問いかけ』(みすず書房・1972年)

偶然と必然がかけ離れたものだと普通の人は思っているけど、本当にそうなのか。深く考えさせてくれる本です。モノ―先生は、ノーベル生理学医学賞を受賞されていますけど、そういうのを抜きにしても、偶然と必然というタイトルはアトラクティブですよね(笑)。自分にとって嫌な事象は偶然、よい事象は必然というように、人は都合よく、偶然と必然を使い分けたがりますから。偶然と必然の話は、実は就活にも使えるかもしれないですよ。

法律の世界は、本当は必然の世界。とくに日本ではそう。同じルールに、同じ事実を入れたら必ず、同じような答えにならないとおかしい。人はそう考えます。でも、当然ですが、逆を望む場合があり、ときとして裁判所や行政機関は、逆の結論を導いたりする。会社だって同じ。これを偶然と呼ぶのか、または、偶然と呼ぶべきなのか。それとも違うのか。

米国で一度でも法律を学ぶと、同じ事実関係って本当にどこまで同じなのかなぁ、と考えるようになります。本当は1つ1つの事案はすべて別物。それを便宜上、欲しい結論のために同じように論じたり、違うように論じたりするだけ。ルールの解釈も似ています。法解釈だけでなくあらゆるルールの解釈は、そんなに厳密に1つにはなり得ないからです。ルールが言葉から構成されている限り、それはある程度仕方ない。

法律の見方を変えると、就活の世界もぜんぜん違ったものになるのではないかな、って思います。偶然が支配する世界で、どうやって自分が採用される可能性を高められるのか。100パーセントの合格はあり得ないけど、できる限り高めるための方策ってなんだろう。就活において「ルール」にあたるもの、ないし、あたりそうなものは何で、「事実」にあたるものは何か。立証は、誰が、誰に対して行うのか。立証基準はどの程度か、などなど、そういう風に、今自分が直面している世界を捉えられたら、きっと世界の色が変わって見えてくるはず。

僕らはしょせん、法学部。それならば、世界をルールと事実、そしてそれを当てはめる人は誰なのかっていう枠組みで切ってみたらいい。将来の不確実性を少しでも減らし、偶然を必然に近づけられますか?

2019年3月26日火曜日

卒業は"Commencement"

2019年3月25日は青学の卒業式でした。僕は、こういう明るい卒業式って一度も経験したことないんです。実は(笑)。ただただ羨ましかったなぁ。輝いて見えました。僕のゼミ生が仲良く、こうして卒業式を迎えられて本当に嬉しいです(何名か、写真には合流できなかったけど)。

同僚のある先生が話していたけど、卒業って米国では"Commencement"。はじまりですね。僕は、あるロー・スクールの卒業式しか知らないけど、あれは学生1人1人のために、大学側が開いている気がします(日本はそうじゃないですよね。きっと)。僕には当時、誰も参列してくれる人はいなかったけど、メンターを務めてくれたJDの学生2人(当時は彼氏と彼女、今はご夫婦)が輪に入れてくれて、家族に会わせてくれたのを今でも覚えています。これから弁護士になってそれぞれの道を進む時(卒業式の日は5月なので、まだ7月の司法試験を受けていないんですけどね)、まずは卒業できたこと、司法試験の受験資格を得られることを素直に感謝し、努力を家族や友人と分かち合う。JDの学生は、借金して勉強している人も多いので、喜びというか安堵感はひとしおでしょう。卒業式ってそういう日なんです。終わりっていうより、1つの過程であり、まさにはじまりを祝う特別な日。

出会いには別れがつきもの。僕も、ゼミ生と出会えたことに改めて感謝して、新学期に臨みたいです。寂しいのもあるかな。やっぱり。寂しくないというと嘘になるけど、もう僕には教えられることというか、一緒に学べることがないので、別な世界で日々学び、活躍してほしいです。

ゼミ生はもちろん、卒業生、とくに法学部の卒業生に幸多きことを祈って。




(Congratulation to my students for their graduations on Mar. 25, 2019 at Aoyama Gakuin University, Shibuya Tokyo, JAPAN) 

2019年3月23日土曜日

単なる"a hired gun"としての活動に未来はあるの?

"A hired gun"という言葉は、あまり使いたくないです。クライアントに雇われた弁護士のことを表す言葉なのですが、クライアントのためなら相手を徹底的に叩きのめすのも厭わないのが弁護士、そういうことが暗示されています。それは、ある意味で真実なんですけどね。皆が敵でも、皆がどんなに攻撃をしてきても「自分の」弁護士だけは自分の味方でいてくれる、っていう意味でもあります。

僕は弁護士ではないけど(笑)、クライアントの言い分をそのまま聞いて仕事を進めると、必ずしもクライアントにとって最善の結果にならないことがある、という現実は知っています。実体験として(笑)。僕ごときが知っていることなのだから、弁護士の先生なら、きっと知っているはず。それでも、結果的にお金をもらう以上、クライアントの意向をただ受け入れて、ないしぎりぎりの線まで受け入れて、書類や報告書を作成することがあるかもしれませんね。

最近のニュースを見聞きして、弁護士がかかわっているのに問題が逆にこんがらがっている感じの案件を見つけました。何の案件かはご想像にお任せしますけど、弁護士の先生が必ずしもすべてにおいて悪いわけではないかもしれない。クライアントの側の意向なのかもしれない。でも、結果を出せなければ意味がない。クライアントにとって最善にならないサービスを提供してしまったのはなぜなのか。逆に、クライアントも短期的な視点で、弁護士のサービスを食い尽くした感がありますよね。今回に関しては。

弁護士は経営判断には関与しないというのは、よく使われる素晴らしい理由付けなんですけど、これでクライアントは本当に生き延びたのかどうか。何より、かかわっている関係者の方々の満足度は改善しているのかどうか。記者会見中に、関係者から事実関係を訂正されるような事態は、僕はぜったいに経験したくないですね。。。もしされるなら、事前に訂正されることを想定しておきたいなって思いました。

どんな弁護士の先生に、どんな風に依頼するのか、どんなふうに事実関係を説明するのか、何を求めるのか、それによって緊急事態のコントロールの可能性は変わりうる気がします。今回の案件は、とても勉強になりました。いろんな意味で。弁護士の先生にお金を払って任せたら大丈夫、弁護士の先生に指示したから大丈夫っていうわけじゃないってことかもね。クライアントの側も、いろんな努力がいるってことですよね。皆さんが会社に入ったら、弁護士の先生をうまく使って、ないし、弁護士の先生にうまく依頼して、事態を改善させられるでしょうか。

2019年3月15日金曜日

就活に答えはほとんどない

SPIに答えはあるけど、就活には答えなんてたぶんないですね。なんとなく、どの会社でも選考がうまくいく人と、そうでない人がいる。AIで分析したら、特徴は把握できるはずですけど、究極的な理由はわからない。最後まで、なんで落ちたのかはわからないんです。そういう意味では、大学で受ける定期試験などとはぜんぜん違う世界です。頑張って準備しても落ちるわけなので。定期試験では、そういうことはまずないです。

前から書いていますけど、法学部の学生にとって就活は苦痛でしょうね。普通は。だって、同じルールに、類似する事実を入れたら答えも同じになるはず、そういうロジックで学び続けてきたら、いきなり違う世界に放り込まれるのですから。ある会社の採用ルールに照らして、フィットするように努力した二人がいて、凄く似ているけど片方が合格し、片方が落ちる。そんなのはざらにある。本当は、法律の世界だってそんなに単純じゃないけど、大学で学ぶのは単純な話ばっかり。教科書で学ぶと、仕方ないですよね。実験室の話で学ぶと、真実の世界は見えなくなるってことです。

机上の空論よりも現場に行ってみたり触ったりする。実際に手にして動かしてみる。そういうひと手間が、就活には有効です。だって、実験じゃないから。相手は人で、貴重な時間を割いて、将来の会社にとって有用な人材を探し出そうと努力している。なんでもいいから僕やわたしを採用してっていうわけにはいかないでしょう。株主利益の最大化にもならないし。

だからこそなんですけど、大学4年間をかけて、魅力的な人間になってほしいです(僕はできなかったけど)。授業やゼミ、それ以外の活動を通じてです。究極的には、この人と一緒に働いてみたい、そう思ってもらえるかですから。4年って案外短いですよ。

4年生の人は、今からでも遅くないです。目先より本質を。自分らしさって何か、他の就活生と違う点、違うからこそ会社に貢献できそうな、会社にフィットしそうな点について真剣に考えてみましょう。話し方とかより百倍大事だと思います。

就活、どうか頑張ってくださいね。

2019年3月14日木曜日

【お礼】2019年度のプレゼミの応募、ありがとうございました

プレゼミに応募してくれた学生の皆さん、本当にどうもありがとうございました。毎年、プレゼミも本ゼミも、学生が応募してくれるのか不安なのですけど、心より深くお礼申し上げます。最終的に選ばれなかった方も、授業や本ゼミでお目にかかれるのを楽しみにしています。

男女比とかGPAとか、ここには書きません(笑)。書きたいことはたくさんあるけど、それは入ってからのお楽しみ、ということで。僕が下した結論じゃなく、神の手によるものなので。

プレゼミって、学生の皆さんはどうやって選んでいるんでしょうね。
半期で、しかも本ゼミとは違う感覚で選ぶって、具体的にどうやるんだろうって思いました。

僕はプレゼミって、法律を楽しく学ぶのが第一だと思っています。題材を医療にしているのは、やはり身近で、分かりやすい気がして。それだけです。GPAは、仕方ないですよね。切られたら切られたですけど、最後はどのプレゼミでも楽しめるかどうか、そこを大事にしたいです。

僕自身は、大学生のころ、労働法と国際法のプレゼミに入っていました。労働法では、セクハラやパワハラに加えて労災事件を扱った記憶があります。生々しすぎてつらかったけど、債務不履行と不法行為の関係とか、行政法と民法の関係とか、幅広く学べました。労働法っていう科目の性質でしょうけど(笑)。実は、医療と法でも、民法、行政法、刑法をまんべんなく扱います。

プレゼミでは、法律の細かい論点を掘り下げるというより、事件自体の見方、論じ方、結論の正しさ、その理由の妥当性、結論が正しくない場合の是正方法、そういう点を重視したいと思っています。基礎中の基礎だけど、他のゼミではやらなさそうなことをやりたいですね。

プレゼミ、どうかお楽しみに。


2019年3月11日月曜日

ピンチに追い込まれたらーやるべきことをタイムリーにやり続けるだけ

就活している皆さんも、そうでない人も、ピンチって必ず直面しますよね。どうしてますか?なんとなく、危機が過ぎ去るのを待つのも、学生のうちはよいかもしれないですね。大人になると、危機は過ぎ去っても事はそれでは終わらない。そのあとにも、責任問題とか、事後対応とか、いろいろあります(笑)。ピンチに追い込まれたら、あなたならどうしますか?

ピンチって、本当は追い込まれにくくしておく必要があります。どうしたらピンチになりやすいのか知っておく必要がある、ということです。逆説的な言い方をすると、学生のうちにたくさん、ピンチに遭遇しておきましょう。そうすれば、ピンチってどんなときにおこるのか、なんとなく、感覚的に分かるようになりますし、なにより、ピンチになっても動じなくなります。それってすごく大事です。なぜなら、大人になったら、逃げたくても逃げられないからです。会社のために、自分のために最後までやりきるしかないんです!

ピンチなので、自分の力ではもうどうすることもできなくなっている場合が多いわけですけど、どうするか。やはり、適時に、適切な人に相談し、報告することと、上司や責任者に指示を仰ぐことですかね。自分でどうしようもなくなっているのに、自分の手元に置いておいても事態は改善しません。いち早く事態を報告し、相談し、指示を仰ぎましょう。ここでは、正確に事実を伝えるだけでなく、現時点までに自分がした対応とその結果、今後の見通し、解決に使えそうなリソースなどを情報提供しなければならないでしょう。

一番苦しいのは、連絡が取れない場面です。スパイドラマや映画の世界ですね(笑)。この場合は、目の前で最善を尽くすしかないです。独りでよりは、誰かと知恵を絞り、助けが来るまで耐えきる。それに尽きます。独りで考えると、向こう見ずなになったり、リスクを見落とす可能性があります。

ピンチの時は、どうしても、目の前のことだけ考えてしまう。就活であれば、目の前の会社でお祈りをもらいそうとか、直近の面接のこととかです。でも、もっと大きくとらえてもいいかもしれません。なぜピンチに陥っているのかという原因について、考える時間はなかなかないかもしれないけど、誰かと、ほんの数分でも、分析して対策を考えられたら次に繋がります。最悪、目の前の会社でうまく振舞えなくても、その先、次の会社とはうまくやれるかもしれない。局所的な視点を少し広げてみる。そして、自信をもって、目の前の会社に向かう。その繰り返しが大事なんじゃないかなって思います。

僕も今、ある意味でピンチの真っただ中(笑)。先にはいろいろ待っているかもしれないけど、それはそれとして、ここで書いているように、今できる最善のことをタイムリーにやるだけ。覚悟を持ったら、前向きになれる。就活でもなんでも、前向きな人の方が感じがいいですよね。私ダメとか、もう何社も落ちたからダメじゃなくて、何社も落ちたけどここから〇〇を直していくぞ、そういう前向きさがピンチをチャンスに変えるんじゃないかな。

最後に、法学部にいると、どうしても「当てはめ」に慣れすぎちゃって、ちゃんとやったのに駄目だったって思いがちですけど(僕もそうでした)、現実社会は法学部で習うようには動いていない。ちゃんとやってもダメなことばかり。ルールどおりにやっても、うまくくいかないことはたくさんあります。前の会社でうまくいっても、目の前の会社や次の会社でうまくいかないこともある。OBやOGの話を聞いて、助言どおりに頑張ったのに、その会社に落ちるかもしれない。それが現実。驚くことはないです。だからこそ、自分を信じて、目の前の事態に対して最善を尽くしてください。失敗して、はじめてわかることがあるのですから。応援しています。

2019年3月7日木曜日

毎年、少しずつゼミを変えたいーゼミだって、変わらなきゃ

僕は青学で5年目になります。3年で一区切り、そう思いながら×2倍になりそうな勢い(笑)。時間をかけて、各ゼミ生のおかげで、ゼミはだんだんと形になってきているようには思います。かつて、マイナーな「医療と法」を扱うゼミでしかなかったけど、いまは普通のゼミ。でも、まだ普通のゼミでしかないです。この先がまだまだある。僕が青学にいる限り、ゼミは変えていかなきゃいけないなって思っています。少しずつでもよくなるように。

少しずつでもゼミをよくするってなんだろうって考えると、なかなか答えが出ないんですよね。学生の満足だけで計ると、最悪、楽なだけになってしまいそうだし。逆に、社会でためになるっていってみても、それだけだと学問的な部分は欠如しかねない。バランスを取りながら、別なゼミとの差別化を図る。このゼミにしかない売り物を常に考えています。

そういう意味では、常に「挑戦」しています。新しさ、他にないものを提供できるように、皆で創り出せるように。だから、リスクを取ってみています。青学内外でイベント開いてみたり、新しい分野で論文を書いたり、講演したり。テレビに出るような派手さはないけど(笑)、それでも、ゼミに還元できるようにまずは自分でリスクを取ってみています。だって、リスク取らない人が「リスクないところにリターンはない」っていってみても空虚でしょ。失敗を知らない人がリスク取れなんていえないですよね。だから、自ら、普通しないようなことに身を投じてみています。まあ、単に面白いから、やってみたいからでもあるんだけど(笑)。それで、あとから後悔したりして。

法律を学ぶって、究極的に言えば、人よりうまくリスクを取れるようになる、そこに価値がある。なぜなら、リスクを軽減したり増やしたりする要素の1つに、法令やガイドラインがあり、それをうまく使えた人の方が、リスクをコントロールしやすいから。僕らは、それを医療という題材、すなわち、最もハイリスクな分野の1つを扱って学ぶわけです。別に、法学部を出なくても法律書は読める。勉強もできる。でも、そんな紙の知識じゃない、生々しい世界を僕らは体験する。人の生死に向き合い、法令等を同のように駆使してクライアントを守るのかを考える。その場で必死に考えて、議論し、メモに起こし、プレゼンの形にする。それが僕のゼミ。

(たぶん、法律に対する見方がぜんぜん違うゼミなんだと思います。)

堅い法律論も大事だけど、ルールに事実をあてはめるだけ、判例や学説を覚えるだけの4年間じゃ物足りなくない?僕は、もう少し別なやり方で皆と法律を学びたいです。

明日からはじまるプレゼミに応募でも、そんなゼミでもよかったらぜひ、応募してください。これからゼミに入る新3年生は、最初の講義で僕がどんな事例を使うのか、楽しみにしてほしいです。新4年生は就活でお忙しいでしょうけど、去年にもまして実践的にやりたいですね。人数が少ないときは、リアルタイムの本格的なディスカッションもはじめてやってみようかな(笑)。



2019年3月3日日曜日

事実と意見ー質問されたとおりに、求められたとおりに、あなたは答えられる?

最近、ニュースを読んでいて、事実と意見の区別について面白いなって思いました。就活でも使えそうなネタなので、書いてみます。

事実と意見の違いは、法的には意外と大きいですよね。名誉棄損とかが恒例ですけど、日本では名誉棄損を理由とする損害賠償って、意見だからという理由では救われないんですね(笑)。まあ、損害とか影響を気にする日本の民法では、当然といえば当然かも(本当は、意見には正しいも正しくないもなくて、情報の自由市場の人気で当否が評価されるだけのはずだけど)。僕を嫌いっていう意見を書いたりいったりするのと、僕が嫌われているって書いたりいったりするのは、本当は全然違うでしょう。

話を就活の場面に限定して言うと、質問を求められたり、〇〇ってどう思うっていう意見を求められる場合があります。大事なのは、質問されたように答えること。要求が意見なら意見、質問なら質問をってことです。ただし、質問を求められて質問すると、普通は何で気になるって聞かれるかもしれない。そうすると、自分では△なのかなって思ったのですが、念のために教えていただきたくてっていうように、自分の意見を話さざるを得なくなることもあります。

相手が命じてくれたり、何か質問ある?〇〇に意見ってあったら教えてって話してくれる場合はまだましで(笑)、通常は会話の中、コミュニケーションの中で自然に話せないとうまく評価されないかも。会話が途切れた時、実はこんなことに関心があるのですけど、□について教えてもらえますか。→いいよ。なんで?→前に説明会に出た時に、とか、インターンしたときに、こんな経験をして。それで気になったんです。→なるほどね。それはね・・・(ここでの質問が本質的なものかどうかは、もちろん大事です。)

言いたかったのは要するに、事実と意見って使い分けも大事ですけど、どう使うのかによって印象に影響が出るということ。意見ばかりでも質問ばかりでもうざいかもしれない。バランスよく、相手とコミュニケーションを取れたらいいですよね。記者会見でも就活でも。




2019年3月2日土曜日

AI時代のキャリア選択と仕事術、青学で考えてみませんか(2019年3月14日)

AI時代のキャリア選択と仕事術、関心がないヒトはいないですよね。

実は、2019年3月14日、青学ではヘッジファンド、コンサルティングファーム、そして本学の出身でテレ朝「グッド!モーニング」に出演中の福田成美アナを招いて、AI時代のキャリア選択と仕事術を考えるイベントが開催されます(16時半~18時)。就活にも役立つかもしれません。もし、お時間の許す方はぜひ応募ください!

なお、今回のイベントは大学生、そして青学の教職員のみに公開されます。ご関心のある方はぜひ、お越しいただければ幸いです。

http://www.aoyama.ac.jp/research/event/190314

他ではぜったい聞けない話、AI時代をとりあえず生き抜くための術を手に入れてください!お待ちしています。

2019年3月1日金曜日

記録:データ契約の将来と展望



第73回STIG PoPセミナー
データ契約の将来と展望」
2019年2月25日(月)18:00~19:30
リファレンス新有楽町ビルY203号室で開催

(お越しいただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。)
パネリスト(50音順)
内田 誠 iCraft法律事務所(アイクラフト法律事務所) 弁護士・弁理士

城山 英明 東京大学大学院法学政治学研究科 教授

羽深 宏樹 経済産業省 商務情報政策局情報経済課 課長補佐 弁護士

安平 武彦 経済産業省 商務情報政策局情報経済課 課長補佐 弁護士



(写真はすべて、フォトグラファーの今祥雄氏によるものです。)
  • 21 世紀のデータ駆動型社会は、AIやデータ利用に関する技術的な発展だけでは実現できないー契約等の法的なツールを利用できて、はじめて実現しうる
  • イノベーティブな契約書を生み出すことは極めて難しく、米国でも守秘義務等が障害になって契約書の内容をイノベーティブなものにする試みはなかなかできていない中で、日本におけるデータ契約ガイドライン作成の試みは先進的なもの
  • 必要なプライバシー保護やセキュリティの確保を大前提として、契約自由の原則のもと、データ契約はグローバルな枠組みの中に置かれうる(Data Free Flow with Trust


































2019年2月27日水曜日

2018年度のオーストラリアセミナー

写真は修了式の様子です。皆、一生懸命にプレゼンした後の様子。
英語は、伝え方や話し方でだいぶ印象が変わります。上手か下手かというより、コミュニケーションの取りやすさが格段に違います。

オーストラリアセミナーしか、僕は知らないのですが(オーストラリアセミナーもすべて知っているわけではないのですが)、セミナーを通じて英語に慣れる、英語を使って暮らせる、英語を使って学び、その内容を表現できるようになります。

デイビス(カリフォルニア州)のサマーセミナーも楽しいし、いいですけど、青学で開かれている各種海外セミナーも楽しいと思います。

もしご関心があれば、ぜひ、毎年4月に開かれる説明会にいらしてくださいね。



2019年2月24日日曜日

2019年度の入門演習に向けてー「法」を使いこなすスキルを磨こう

1年生の皆さんは入門演習、どうやって選択しますか?先生で選ぶのもよし。先輩の意見を聞いていくつかに申し込んでおき、入れたプレゼミで満足するのもよし。僕のプレゼミでは、本ゼミと同じように医療と法を題材にしていますが、本ゼミより基本的な部分、法を使いこなすスキルを磨き上げます。

たとえば、あるレストランでドレスコードとして「正装」が求められていたとします。あなたなら、どんな格好で行きますか?タキシードやワンピース?辞書で調べても、具体的に何を着たらいいかわからない。何を着たらいいですかってレストランに聞くのは3流というか、自分らしさがないです(笑)。連れの方と着たいものがあるとしたら、「ドレスコードでいう正装にこういう服装は含まれていますか」、って聞いたらいい。そうすれば、自分らしいファッションとドレスコードの両方をできるかぎり守ることができるかもしれない。髪型はどうでしょう。服装は電話で事前に確認するとして、派手な色付きのアフロヘアーでそういうレストランに行ったら、無事に入れるのかどうか。タキシードを着ているから許されるのかどうか。最終的な答えは、レストランしか知らないですね(笑)。レストラン独自の「正装」という概念かもしれないし。

僕らは、法学部で法律を学ぶとき、こういう曖昧な世界があると思って学んでいるかな、って思うんです。実は、毎日のニュースを注意深く眺めてみると、こういう言葉の処理次第で結論が変わりうるケースを目の当たりにします。法を使いこなすというのはすなわち、言葉を駆使して自分ないし自分のクライアントに有利な世界を作り出すということです。

医療は人の生死に関係していて、医療と法ではそういう世界を学びます。間違いがあってはいけない世界だけど、実際には人は誰でも間違える。僕もあなたも、あなたの関係者もその間違いに巻き込まれるかもしれない。そんな世界で法はどんな役割を果たすべきなのか、果たせるのか。それを一緒に考えてみたいです。

入門演習では、人前でしっかりと自分の意見を話せるようになることも大事な目標です。
他の人と異なる意見でも関係ない。むしろ、人と違う意見を言えるようになるってことを
目指します。入門演習が終わるころには、メモを使わずに、人の目を見て話せるようになります!

どのくらいの学生が関心を持ってくれるかわかりませんけど、もしよかったら一緒に勉強しましょう。「わたし、後悔はさせないので」。もちろん、本ゼミは別のゼミに行ってくれてオーケーです。

2019年2月14日木曜日

英語で仕事するって普段とどう違う?

英語で仕事をしたことがある人は、なかなか学部生ではいないかもしれないですね。大学院生になると、海外の研究者と共著したりする機会はあるかもですが。英語で仕事するとき、日本語とどこが違うと思います?

言語が違うので、コミュニケーションスタイルはもちろん違いますけど、根本は同じかなって思います。ただし、結論が最初、そのあとから理由っていうのは徹底した方がいいかな。もちろん、時によりけりなんですけどね(笑)。下記のようなことは、常に意識しています。あとは、誰に、どんなタイミングでコンタクトするのかによって、成否は変わりますよね。当然ながら。何度もいうように、この部分を法学部では教えてないんですけど、実務では実際のところ最も大事だったりします。意外と。


  1. 何をしたいのか、何をお願いしたいのか
  2. どうしてそれが必要なのか、背景など
  3. いつまで、どのようにやってほしいのか、やりたいのか
  4. やると、どんないいことがあるのか(逆に、どんなリスクがあるのか)
  5. 失敗した場合のバックアッププラン
  6. 今後の展開
日本で、日本語で仕事するときだって上記は同じです。ただ、できる限りシンプルに、もれなくだぶりなく伝えられないと、誤解を生んでしまいます。言語が違うので仕方ないですよね。


最後に、英語のうまい下手やこなれた表現を使いこなせるかよりも、正確かつ端的な
コミュニケーションを取れた方がいいのではないか、と僕は思います。誠実さや人柄は、
ストラクチャーにも表れますし、何より、今はネットで調べられちゃいますからね。どんな人かって(笑)。

僕は、上記のように考えるので、学部生のころは英語に慣れる方が大事かなぁって
思っています。海外の人と英語を使ってコミュニケーションを取ってみると、楽しいですよ。言葉が出てこないとき、別な単語を探すでしょう。その場でです。とっさに探せないと会話になりませんから。

仕事ができるようになったら、もしかしたら英語でも仕事できるようになってるかもしれませんよ(笑)。

2019年2月11日月曜日

事実か法かー何を使って考える、そして争う

The Good Wifeを見ていると、法学部で扱う知識の先を見せつけられている気がしませんか?たとえば、事実を洗いなおして、自分のクライアントに有利な状況を見出したり、真犯人や本当の原因を解明します。また、交渉がまとまりそうになったとたんに予期せぬ事態で自分のクライアントが不利になり、それを切り返すために事実を探していたら自分のクライアントが急に折れたりもします。要するに、静的ではなく動的な思考が大事ってことですね。あと、ヒトとヒトとの関係を扱っているので、綺麗な解ってそんなになくて、自分のクライアントを救うために誰かを不幸にしたりも当然します。生々しいですね。

僕らは普段、事実も法も明らかな状況で事案を学んでいます。事実関係は過去のもので動かしようがなく、法についても、動かしようのない法令やガイドラインが存在している、そういうある種、コントロールされた実験室のお話を学ぶわけです。でも、本当の生の事案では、事実関係の認定は裁判所や交渉の相手方(ないし独立の第三者)が行うわけで、別に定まっているわけではないですし、法解釈だってそんなに確定していません。最高裁判例がある事例は稀だし、あっても部分的に事案が異なるとすれば別な法解釈の可能性は残る。

そうすると、事実と法の区別や、自分が事実関係で勝負したいのか、法解釈で勝負したいのかなど、自分のクライアントのために自分が使える手段を考えてみることが重要なことに気づきます。当たり前のようでいて、実はすごく難しいんですよ。事実と法の区別以外にも、本当は考慮すべきポイントはありますけど、その話は別の機会に。

就活では、3C(自社、競合、顧客)、4C(顧客から見た価値、顧客の負担、商品やサービスへのアクセスの容易性、コミュニケーション)、4P(製品、価格、販売促進、販売ルート)とか、いろいろなフレームワークを学んだりしますよね。大事なのは、フレームワークより、フレームワークを使って自社や自分のクライアントに有利な状況を作り出す「頭脳」や「行動力」かなって思います。暗記じゃなくて、実際に使えることです。

言葉の定義を問い直すというのは、実は事実で勝負するとしても、法で勝負するとしてもとっても大事。定義次第で、その表現だと事実じゃないとか事実になるってありうるし。法解釈にとって、言葉の定義は適用の射程に大きな影響を及ぼしますしね。

長々と書いてしまいましたけど、自分の意見を言う場面(言わされる場面を含む)では、どんなフレームワークで考えるとこうなるのかって説明出来たらいいのではないか、っていうことです。法学部の学生にとっては、事実か法か、手続きか実体か、私法か公法かっていうようなフレームワークはなじみ深いですよね。フレームワークと武器を意識出来たら、プレゼンはもっともっと効果的に、説得的にできるのかもしれないよっていうお話でした。



データ契約の将来と展望 on Feb. 25, 2019@Yurakucho

データ契約って聞いたことありますか?データをやり取りする契約のこと一般ですけど、民法にはモノとしてデータの記載がないため、データ=モノとはならず、所有権の対象にはならない前提で契約書を作成する必要がある、と考えられています。物権法定主義ですからね(法律で定めればいいだけ、ではあるけど)。民法で対象とされていないデータを扱うとき、どんな点に留意すべきなのか、ちょっと気になりませんか?ちなみに、不正競争防止法も関係してくるので、知的財産法も論点に含まれます。

金融やIT等の分野に就職を希望する人はもちろん、そうでない人も、一度聞いておいて損はないかも。政策立案担当者であり弁護士でもある方々と、実務家、そして研究者がデータ契約の将来について議論します。

ゼミ生をはじめとして、就活でちょっと先を行きたい学生や、法曹志望の学生には、ぜひ、ちょっとでも顔を出していただけたら幸いです。

コーヒーとお菓子くらいは出るかも(笑)。Don't miss it.
参加登録は、下記からどうぞ宜しくお願いいたします。

http://stig.pp.u-tokyo.ac.jp/?p=3300

2019年2月8日金曜日

2018年2年生ゼミの様子

2018年度2年生ゼミの様子です。
撮影は、フォトグラファーの今祥雄氏にお願いしました。