僕は、法学部って面白いと思います。アメリカには存在しない学部ですし、学部レベルで法学と政治学を広く学べるのは、将来にとって貴重だと思います。もちろん最近は、国政経とか総文など、複合的かつ学際的な学部の方が人気、なんだとは思いますけど、法学部ってそもそも実学で、基礎と応用を兼ねている学部なんですよね。最も古い部類の大学(確か、ボローニャ大学)にも設置されていた学部で、人間の生活や営みと切っても切れない学部なんです。
法律は言葉の学問。法学部を出たら、言葉とルールで食べていく、生きていくんです。言葉を大事にしないヒトには向かないかもな、と思います。赤色って赤でしょうというあなたには、法学の魅力はわからないかもしれないです。赤にもいろいろある。ワインにもいろいろある。血のような赤色って具体化しても、まだ足りない。血のような赤色にもいろいろあるからです。もちろん、ルールに当てはめた時に結果が変わらない違いなら放置してもよいけど、変わるなら言葉の定義を洗い直し、どうやって自分に有利に使いこなすか。そういう学問です。
政治も言葉の学問ですけど、ルールよりパワーが大事です。民主主義の国では、「票」ですね。だから、投票行動や政策形成のプロセスの研究や分野が、最も注目を集めるわけです。票があれば、いや、衆議院の過半数の議席を持つ党は、法律も予算も条約も自由自在に使えるわけで、そこではルールの中身より、自由自在に使える地位こそ重要、だとは思います。
僕は、法と政治をそんなに厳密に切り離して考えていません。主流派の考えではないですけど(笑)、アメリカで一度でも法律を勉強すれば、それは当然。既存のルール(ないしその解釈)で救えないなら、ルールを変えるしかない。ルールの中でも法律を変えようとすれば、国会で票がどうしても必要になる、そして国会で票を集めるにはルールの中身も大事になる、というわけです。
法曹にならなくても、法学部の知識は使えます。企業の営業、総務、公共政策部門でも、公務員としてでも。もちろん、国際公務員でもNPOでもです。
ちなみに、僕より講義がうまい人は法学部にたくさんいます。僕の講義でがっかりした人も、僕だけで法学部を悪く思わないでくださいね。
最後になりますけど、高校生の皆さん、もしよかったら是非、法学部にも関心を持ってください。法学部は、言葉を使う学問の中で最も実学寄りで、凄く面白いですよ。一度、法学部を辞めようと思った僕がいうんだから、ホントです。