The Good Wifeを見ていると、法学部で扱う知識の先を見せつけられている気がしませんか?たとえば、事実を洗いなおして、自分のクライアントに有利な状況を見出したり、真犯人や本当の原因を解明します。また、交渉がまとまりそうになったとたんに予期せぬ事態で自分のクライアントが不利になり、それを切り返すために事実を探していたら自分のクライアントが急に折れたりもします。要するに、静的ではなく動的な思考が大事ってことですね。あと、ヒトとヒトとの関係を扱っているので、綺麗な解ってそんなになくて、自分のクライアントを救うために誰かを不幸にしたりも当然します。生々しいですね。
僕らは普段、事実も法も明らかな状況で事案を学んでいます。事実関係は過去のもので動かしようがなく、法についても、動かしようのない法令やガイドラインが存在している、そういうある種、コントロールされた実験室のお話を学ぶわけです。でも、本当の生の事案では、事実関係の認定は裁判所や交渉の相手方(ないし独立の第三者)が行うわけで、別に定まっているわけではないですし、法解釈だってそんなに確定していません。最高裁判例がある事例は稀だし、あっても部分的に事案が異なるとすれば別な法解釈の可能性は残る。
そうすると、事実と法の区別や、自分が事実関係で勝負したいのか、法解釈で勝負したいのかなど、自分のクライアントのために自分が使える手段を考えてみることが重要なことに気づきます。当たり前のようでいて、実はすごく難しいんですよ。事実と法の区別以外にも、本当は考慮すべきポイントはありますけど、その話は別の機会に。
就活では、3C(自社、競合、顧客)、4C(顧客から見た価値、顧客の負担、商品やサービスへのアクセスの容易性、コミュニケーション)、4P(製品、価格、販売促進、販売ルート)とか、いろいろなフレームワークを学んだりしますよね。大事なのは、フレームワークより、フレームワークを使って自社や自分のクライアントに有利な状況を作り出す「頭脳」や「行動力」かなって思います。暗記じゃなくて、実際に使えることです。
言葉の定義を問い直すというのは、実は事実で勝負するとしても、法で勝負するとしてもとっても大事。定義次第で、その表現だと事実じゃないとか事実になるってありうるし。法解釈にとって、言葉の定義は適用の射程に大きな影響を及ぼしますしね。
長々と書いてしまいましたけど、自分の意見を言う場面(言わされる場面を含む)では、どんなフレームワークで考えるとこうなるのかって説明出来たらいいのではないか、っていうことです。法学部の学生にとっては、事実か法か、手続きか実体か、私法か公法かっていうようなフレームワークはなじみ深いですよね。フレームワークと武器を意識出来たら、プレゼンはもっともっと効果的に、説得的にできるのかもしれないよっていうお話でした。