2018年6月17日日曜日

The Good Fightー弁論で世界を変える、クライアントを救える?

海外ドラマ「The Good Wife」のスピンオフドラマ、「The Good Fight」は弁護士のドラマですけど、ああ、法律を学ぶことってこういうことなのか、としみじみ感じさせてくれます。

法学部で勉強していると、「なんで法学部に入ったのかな」って思う瞬間が必ずあります。医学部なら、国家試験パスしてとりあえず「医者」になるという道がはっきり見えているけれど、法学部にはたくさんの道が開かれているせいで、法律習って意味あるのかなとか、法曹にならないなら単位取って就活して卒業できればハッピー、そういう考え方に流れてしまいやすいでしょう。でも、というか、だからこそ、法律の勉強は単位とか成績にかかわらず頑張る意味があるんです。

法律が関係する世界は、結局どこまでいっても、人が人を裁き、判断します。AIが判断するわけではない。人は必ず間違えますし、ルールに事実を当てはめて何かしらの結論を出すときには、法学部で習っていること以上に生々しい人々の政治や、利害関係が交錯します。一般の会社に勤めていても、社内ルールに縛られることはよくありますよね。そして、社内の政治に結論は大きく左右されます。要するに、ルール一般は、真空の中に存在していなくて、たくさんのノイズの中で適用され、結論には関係者のさまざまな「想い」が影響を及ぼさずにはいられないのです。

はじめに言葉ありき、ペンは剣よりも強し、そんな言葉があるように、人の心を動かす1つのツールが「言葉」です。ルールは「言葉」からできていますし、事実関係も究極的には「言葉」で説明し直されます(映像やデータそのものが提出されても、ルールに適用するときにはそこから重要な点を抜き出し、言葉の形で説明し直されないと使いものになりません)。

「The Good Wife」でも「The Good Fight」でも、言葉の力を再認識させられます。もっと具体的に言えば、言葉から生み出される弁論だったり、交渉だったり、一瞬一瞬の言葉のやりとりが、良くも悪くも世界を変えてしまう瞬間を目の当たりにします。弁護士であれば当然なのかもしれませんが、弁護士にならない人にとっても、ビジネスで言葉は重要です。ルールの取り扱いが案件や人生を大きく左右します。

講義ではなかなか話している時間がないのですけど、ルールを使いこなすことはもちろん、そのルールに事実を適用したときにどうして自分がわかりやすく話したり、説得力を持たせるためにどんな順序で、どんなデータやエビデンスを、どんな風に見せるのか、どんな表情で、どんな身振り手振りで話すのか、そういう技術を法学部では学べるはずです。法令を覚えても、判例を覚えても、学説に詳しくても社会ではあまり意味がないでしょう。どんなルールも、結局はパズルです。ルールだけでは結論はでなくて、事実が必要です。どんな事実があれば自分に有利になるのか、どんな事実をどう見せたらよいか、もしルールについてそんな見方ができるようになったら、あとはその次のステップに入りましょう。事実をどう扱うか、そっちに注力すると、法律を学ぶのがますます楽しくなります!

ルールがある世界ならどこでも、日本でも世界でも、法学部で勉強したことを活用して、自分やクライアントに有利な状況を作り出すことができます。ルールは別に法律に限られません。社内ルールでもマンションの組合規約でも何でもオーケーです。サークルの内規だってよいです。そういう風に世界を眺められたら、ああ、もしかして法学部って凄くお得かもしれないって気づけるのではないでしょうか。

法学部って悪くない、むしろそこでの勉強は法曹になってもならなくても価値があるし、むしろそういう価値のある講義やゼミを提供していきたいな、と思っています。今までの法学部とは少し違うかも、ですけどね(笑)。

法学部で真面目に勉強して、弁論で世界を変える仕事、クライアントを救う仕事に着いてみませんか?