2018年6月24日日曜日

シンギュラリティと法ーいつかの講義のために

僕は、AIの専門家ではぜんぜんないですけど、AIが進化したときに社会にどのような影響が出て、それに対して法がどうあるべきか、という問題には凄く関心があります。少し前に、特任で雇われているある大学の法学部3年生から、関心があるけど大学院向けの講義に出て良いか、と言われました(結局、履修しなかったようです(笑))。学生の中にも関心を持つ人がいるということは、おそらく社会的な関心も少しずつ高まってきているんだなぁ、とぼんやりと感じていました。

法律の講義は、特に日本ではですけど、分からないことがあるとダメ、分かっていることしか教えない、という大前提があるように思います。そうすると、シンギュラリティ(技術的特異点)という、いわゆるまだ見ぬ世界の話なんて、教えようもないことになりますよね。技術的特異点の具体的なインパクトが分からない以上、法的な話はぜったいにできないのかも。

技術的特異点について不明確なことがあっても、法的な問題はすでに少しずつ起き始めています。自動運転や移動革命の担い手であるドローンはもちろん、契約や労働法の問題はよい例ですね。僕は、今起きている現象を講義の中にできる限り取り込んでいきたいと思っています。法学部では嫌われてしまうかも、ですけど。まだ誰にも解かれていない問題こそ、法学部では本当の意味で法的な思考を問われる重要な問題のはずだからです。

暫定的ではありますが、僕が「シンギュラリティと法」と題して講義をするとしたら、下記のようなシラバスになりますかね。ある大学だと「技術利用と法」、青学だと「法と経済」という講義で扱っている内容を少し修正して話すだけ、なのですけど、意外と皆で楽しめるのではないかな、と思っています。

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1.はじめにーなぜ、今シンギュラリティを考えるのか
2.データー自力救済、的救済、そして「コード」による支
3.パーソナルデータの活用が未来を変えるー便利さよりもプライバシーの保護を優先できる?
4.シンギュラリティイノベーションーヒトではなくAIがイノベーションを定義する時代?
5.シンギュラリティ形式ー規制はどうなっていくか、どうあるべきか?
6.シンギュラリティ契約ー契約は本当により合理的な内容になる?
7.シンギュラリティ知的財産ーインセンティブを与えられるべき対象は何か?
8. シンギュラリティコーポレートガバナンスー取締役の義務や役割はどう変わる?
9. シンギュラリティワークスタイルーは労働者を守れるのか、どう守るべきか?
10.シンギュラリティ弱者保護ー生活保護や社会保障はどう変わる?再チャレンジは可能なのか?
11.ケーススタディしての自動運転自動車ーは技術にタイムリーに追いつけるか?
12.まめーシンギュラリティと法
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実は、この講義は今年、何らかの形で実現できそうだったのですけど、ダメになったのでここに
掲載してしまいました(笑)。誰かが参考にして講義にしてしまうかもしれないし、反面教師に
されるかもしれないですけど、僕は僕なりの講義を、いつか必ずしたいなって思います。

医療と法のゼミでも、シンギュラリティやAIを意識した問題を扱いたいと思います。