2018年6月15日金曜日

法令に書いてない一手を打てる?

先日、成績優秀者の表彰式がありました。表彰された学生には改めて心からお祝い申し上げたいと思います。

成績優秀者が幸せな、そして活躍できる人生を送れるかと言えば、それは誰にもわからないです。人生はいろいろなものに左右されるからです。ただし、大学で法律の勉強を頑張れば、それなりに幸せな、そして活躍できる人生を送る確率を少しは上げられるかもしれません。僕は、成績優秀者のことはもちろん、真面目に勉強している学生のことを尊敬したいし、応援したいと思っています。

なぜ法律の勉強を頑張った方が良いのかと言えば、それは、暗記やリーガルリサーチでは足りない世界が将来広がっているからです。法律の試験勉強に暗記は付き物ですが、目の前の新しい問題には想定問答集はないですし、模範解答もありません。暗記なんてしても、解けない問題が目の前に何度も何度も起こります。また、調べればわかるとしても、瞬時に法的な判断を求められる場合もあります。そのような場合、弁護士に電話する暇もないかもしれません。暗記ばかりして、それなりに素晴らしい成績を取っていても、下手したら目の前の問題にはまったく太刀打ちできないかも。

僕は、成績が優秀であることも大事だとは思いますが、より重要なのは真面目に法律を勉強することだと思っています。真面目に勉強するというのは、見たことない問題を考えて行動できるようになる、ということです。法律の世界には解かれていない問題が山積していて、そういう問題については答えを暗記することはぜんぜんできないのです。できることは、法令の内容、過去の重要判例やその解説、場合によっては学説を利用して、解かれていない問題で最善の決断をし、自分や自分の組織に利益をもたらすこと。たとえば、アメリカ会社法のレブロン事件とか、Pantry Pride側の弁護士の用意周到さにはしびれます(笑)。過去の判例には明確に書いていないけれども、やるべきことは何か。答えがない中で弁護士は助言し、裁判での勝利を確実なものにする。そんな頭の使い方を、僕は講義やゼミで伝えたいのです。

成績優秀者を含めて真面目に勉強した人が、「ああ、勉強しといて良かったな」といつの日にか思えるような講義やゼミを続けていきたいと思います。法令に書いていなくても、勝つためにやるべき「一手」、あなたには考えられますか?