青学の「公共政策と法」という講義で、第9回目に法律と条例の関係について話しました。公共政策の話は、普段から別な大学院でしているのでどうっていうことはないのですが、「受動喫煙」という最新のトピックを取り上げたので、緊張して話しました。
僕にとって1時間半はあっという間。学生にとってどう感じたのかはわからないけど、久しぶりに緊張しながら話しました。講義では緊張よりも楽しさを感じることが多いので、新鮮な気持ちでした。
法学部は、ルールと事実を扱い、自分の側に有利な結論を探し求められる知識を得る場所。それを再認識して欲しくて、あのような講義にしました。答えは簡単に出るようで出ない。1つだけの答えを出す公式もありません。そういう意味では、高校生までに受けたどの科目とも違います。また、法学部を出たら、必ずしも裁判官のように中立な立場でルールと事実を眺めるわけではない世界で、僕らはこれから生きていくことになります。どう生きていくのか。それを、最新のトピックを使って話しました。
法学を好きになるには、理系とは違うセンスが少しは必要です。理系のヒトは、1つの変わらない答えがあるから面白いって言いますね。その答えを世界で誰より早く見つけ出したい、それがどんなに小さな問題でもって聞かされます。法学の世界は、答えがあってもそれを切り崩すような事象が絶え間なく起こりますから、答えを知って喜んでいてもそれほど意味はないんです。むしろ、新しく起きている問題についてどんな問題なのかを捉え直し、既存のルールを適用するとどうなるのか、それで望ましい結論なのか、ダメなら別なルールを考えられるか、別なルールにはどんなものがありうるか、そもそも別なルールが実際に作られる可能性はどのくらいあるのか、ないならどうするか、そういう思考回路がより重要だと思います。別に官僚じゃなくても、ビジネスの世界で活躍していても大事です。規制の全くない世界でビジネスをすることなどほとんどないので、どんなに新しいビジネスを考えついても、常に規制の適用可能性を考えておく必要はあるからです。
アメリカ法の担当者が戯言として語ったように思われたかもしれませんが、僕なりに時間をかけて準備して話しました。少しでも法学や公共政策と法に関心を持ってくれる学生が増えてくれることを祈っています。