2018年9月23日日曜日

2018年度後期の講義のテーマー事例から考える力

夏休みが終わり、後期の授業がはじまってしまいましたね。。。はじまってしまった、という感じです。もう少し休んでいたかったな、と思いますけど、仕事ですからね。頑張りましょう。

僕の今学期のテーマは、「事例から考える力」です。法学部にいると、条文から入る癖がつきますが、それはよい面と悪い面があります(いや、条文を読まない学生が大半かもね(笑))。根拠法令を探し、その条文自体を確認するのは大事ですし、極めて重要です。でも、当てはめて答えを得たら終わり、そう考えがちになりませんか?本当は結論としておかしくても、「だって法令に従うと仕方ない、これしかない」っていう回答をよく聞きます。結果が「変」なら、やはりどこかが間違っているのかもしれない。そういう感覚を大事にして欲しいのです。そのような鋭敏な感覚を養うには、条文だけでなく事例(ケース)を大事にするのがよいと思います。生の事案には、ヒトの人生や生命が関わってきます。まあ、仕方ないとか言ってられない世界がそこにはあります。どちらかの代理人ないし当事者の気持ちになって、ケースを読み直して考えてみましょう。

アメリカのロースクールで教えられたことの中で、今でも鮮明に覚えていることの1つは、ケースを読んだら、「Reasonable or not」と「fair or not」を常に意識せよ、ということです。日本で判例を読むときには、基本的にただ「覚える」だけですよね。特に、最高裁判決ならばなおさらそうです。でも、地裁判決でも批判的に分析せよ、とその教授は言うわけです。本当にこのケースの判旨は合理的なのか、合理的だとして判旨をこのケースに適用して果たしてフェアなのかどうか。このように批判的に分析して、もし結論が変だと思うなら、判旨を徹底的に叩く理由付けを考えられなければ、学生はロースクールを出ても意味はない。そこまで言われた記憶があります。クライアントのために法を駆使するのが弁護士なのだから、ケースを読み、分析し、過去の先例に照らして判旨が合理的なのか、判旨を本件に適用してフェアなのか、事実の特殊性を考慮してもこの結論に本当になるのかどうか、今一度考えよ、という教授の言葉は、今でも胸に焼き付いています

事例から考える力、皆さんにもほんの少しでも身につけて貰えたらな。
世界が違って見えるはずです。法の世界だけじゃなく、周りの世界すべてが。