明けましておめでとうございます。2017年が皆さんにとってよい1年になりますように。
法学部に入ったら、何かバイトしてみたらどうかと言いましたけど、法律のお勉強の観点から言えば、言葉を大事にして生活してみてほしい、そう思います。大学に入ると、たくさんの一般教養科目(青学では、青山スタンダードと呼ばれるらしいです)で単位を修得しなければなりません。そこでは、法律に関係する知識がたくさん得られます。その中でも、言語や論理学は、基本中の基本になりますし、意外と科学史も法学に応用可能な話が多いです。
言葉を大事に生活するというのは、ある言葉の意味を問い直したり、定義を考えながら生きてみるということです。一般教養で学ぶ話の1つを例にすると、たとえば、「青信号」の青色は何色に見えます?教習所でもどこでも、青信号は「青色」だという大前提のはずですが、あれは青色のでしょうか。緑っぽい青を青色ということにして、青信号と呼んでいるだけです。あのような色を「赤」と呼ぶことも、そういうルールを作れば別に不可能ではない、ということに気づくと、社会って面白いと思いませんか?僕らが知っている青はなぜ青色って呼ばれていて、赤はなぜ赤色なんだろうなんて、高校生までは絶対に考えてこなかったはずです。要するに、僕らが知っている青は青色、赤は赤色って呼ぶルールがある、だから僕らは青、赤というように色を呼称できているだけなんですよね。
ちなみに、最相葉月さんの「青いバラ」を読むと、昔「青いバラ」って思われていたお花の色と、今、「青いバラ」って思われているお花の色が違うのに驚かされます。古来からヒトは、自分の思い描く「青いバラ」を探し求めていたらしいですが、そもそも、自然なバラの花には青い色素がまったくなく、誰も本当の「青いバラ」を知らないのです。遺伝子組み換え技術で青い色をしたバラは生み出せるようになりましたけど、果たしてそれはもともと追い求められていた「青いバラ」なのかどうか。
これまで何度もお話ししているように、法律は言葉を使う学問ですから、どうしても言葉の意味を大事にしなければならないです。青は青だ、赤は赤だ、というヒトにはあまり向かない学問かもしれません。青ってどんな青色、赤ってどんな赤色って聞き返せるくらい、言葉を大事にして貰いたいと思います。もっというと、青を青色にしているルールってどこにあるのだろうとか、そんなことを考えられるあなたは、法学部うってつけの学生かもしれませんね(笑)。
2017年が皆さんにとって、実りある素敵なよい1年になりますように。