法学入門では、「法は国家を基盤にして生成し、また国家によってその実現を保障されることになるが、他方でひとたび作り出された法は、逆に国家の活動を規制するという作用を持つのである」と説かれている。たしかにそうだし、とても大事なことではあります。
他方、僕らが法学部で対象とするべきは法、そのものというより、法を含むルール一般であるような気がしています。法だけなら、ロースクールで学ぶのでもよいかも。でも、世の中は法以外のルールで回っていることも多いです。何より、このデータ駆動型社会では、国家の作り出す法ではなく企業が作り出すいわゆる「コード」が、この世を支配しつつあります(レッシング教授の著書など)。最近は、独禁法や消費者法でその支配を国が制限しようと試みてはいますが、そういう国家が作り出す法以外のルールの存在や、どういうルールが望ましく、より望ましいルールをどのように作り出すのかというプロセス自体も、法学部で学ぶべきではないでしょうか。
法学入門では、法における強制にも力点が置かれており、国際法の世界ではそれが十分に機能しないことにも触れられている。それ自体は当然であり、重要だと思います。
他方、最近では、強制自体、国家に頼らない形で行われ始めています。SNSを駆使した事実上の強制やサンクションは、メディアの報道等を通じて、相当の強制力を持ち始めていますよね(いい悪いは別にして)。