瞬間を大事に、っていうのは、たぶん、法学部では4年間で一度も聞かない言葉かもしれませんね。じっくり考え、じっくり話し、じっくり話し合い、結論は出ない。それが、"the 法学部"って感じですよね(笑)。
事案を読んだ瞬間の感想、関連法令を読み、事実らしきものを当てはめてみた感想、その結果として何が生じ、誰が得をして誰が傷つくのか。それらを瞬時に考えられるかどうか。瞬時にやってどうすべきかを決断し、実際に行動できるかどうか。それが、社会では重要です。法学部では決して、学べないんだけど。
時間っていうリソースは常に有限で、物事を変えるにしても時間がかかりすぎると意味がなくなってしまう。一週間、一か月で仕上げる仕事もあるし、アーティストのように納得いかなければ表に出さないで没にする、そういう仕事もあるにはある。けれど、普通の仕事は、そんなに猶予は与えられていないです。スピードが大事ってことです。
僕のゼミでは、毎回、一時間半の中で完結させるために、逆に物足りない内容になっているかもしれないですし、他のゼミで行うような文献の分析や調査にはそんなに時間を割けていません。もちろん、そもそも既存の文献が扱っていない新しい問題をわざわざ探してきているので、探してもほぼ無駄なんですけど、それども関連性のある文献を丁寧に読み込むことは、ゼミとしてある程度重要なのかもしれないなぁ、と思っています。
それでも、今のやり方を踏襲しているのは、瞬間で力を発揮できなければ、就活では勝てないですし、何より世の中で絶対に通用しないと考えているからです。話す能力は、結局のところ臨機応変にその場で答えたり、提案し直せなければ、まったく使い物にならない。僕は、そのことを痛いほど知っています。
答えがありそうな事案でも、もう一回問い直してみる。よりよい答えを自ら作り出してみる。そういうのが、法学部で学ぶ「法学」なんじゃないかな。そこに時間は必要ない。瞬時に考えて決断し行動する。間違えに気づいたら訂正して修正を図る。その繰り返しです。スパイ映画の見過ぎかな(笑)。
使えるのは、ルールと事実だけ。すべては、「言葉」からできている。僕らは、法学部を出てから、「言葉」を上手く使って使って仕事するんだよね。それしかないけど、言葉は偉大だから。聖書にもあるように、ですけど。