偶然と必然っていう言葉を並べられて、次の本を想起する人は、ちょっとほかの人とは違う人ですね。
ジャック・モノー (著), 渡辺 格 (翻訳), 村上 光彦 (翻訳)『偶然と必然―現代生物学の思想的問いかけ』(みすず書房・1972年)
偶然と必然がかけ離れたものだと普通の人は思っているけど、本当にそうなのか。深く考えさせてくれる本です。モノ―先生は、ノーベル生理学医学賞を受賞されていますけど、そういうのを抜きにしても、偶然と必然というタイトルはアトラクティブですよね(笑)。自分にとって嫌な事象は偶然、よい事象は必然というように、人は都合よく、偶然と必然を使い分けたがりますから。偶然と必然の話は、実は就活にも使えるかもしれないですよ。
法律の世界は、本当は必然の世界。とくに日本ではそう。同じルールに、同じ事実を入れたら必ず、同じような答えにならないとおかしい。人はそう考えます。でも、当然ですが、逆を望む場合があり、ときとして裁判所や行政機関は、逆の結論を導いたりする。会社だって同じ。これを偶然と呼ぶのか、または、偶然と呼ぶべきなのか。それとも違うのか。
米国で一度でも法律を学ぶと、同じ事実関係って本当にどこまで同じなのかなぁ、と考えるようになります。本当は1つ1つの事案はすべて別物。それを便宜上、欲しい結論のために同じように論じたり、違うように論じたりするだけ。ルールの解釈も似ています。法解釈だけでなくあらゆるルールの解釈は、そんなに厳密に1つにはなり得ないからです。ルールが言葉から構成されている限り、それはある程度仕方ない。
法律の見方を変えると、就活の世界もぜんぜん違ったものになるのではないかな、って思います。偶然が支配する世界で、どうやって自分が採用される可能性を高められるのか。100パーセントの合格はあり得ないけど、できる限り高めるための方策ってなんだろう。就活において「ルール」にあたるもの、ないし、あたりそうなものは何で、「事実」にあたるものは何か。立証は、誰が、誰に対して行うのか。立証基準はどの程度か、などなど、そういう風に、今自分が直面している世界を捉えられたら、きっと世界の色が変わって見えてくるはず。
僕らはしょせん、法学部。それならば、世界をルールと事実、そしてそれを当てはめる人は誰なのかっていう枠組みで切ってみたらいい。将来の不確実性を少しでも減らし、偶然を必然に近づけられますか?
This blog is mainly providing useful information to students who are interested in the seminar on law and policy in healthcare.
2019年3月29日金曜日
2019年3月26日火曜日
卒業は"Commencement"
2019年3月25日は青学の卒業式でした。僕は、こういう明るい卒業式って一度も経験したことないんです。実は(笑)。ただただ羨ましかったなぁ。輝いて見えました。僕のゼミ生が仲良く、こうして卒業式を迎えられて本当に嬉しいです(何名か、写真には合流できなかったけど)。
同僚のある先生が話していたけど、卒業って米国では"Commencement"。はじまりですね。僕は、あるロー・スクールの卒業式しか知らないけど、あれは学生1人1人のために、大学側が開いている気がします(日本はそうじゃないですよね。きっと)。僕には当時、誰も参列してくれる人はいなかったけど、メンターを務めてくれたJDの学生2人(当時は彼氏と彼女、今はご夫婦)が輪に入れてくれて、家族に会わせてくれたのを今でも覚えています。これから弁護士になってそれぞれの道を進む時(卒業式の日は5月なので、まだ7月の司法試験を受けていないんですけどね)、まずは卒業できたこと、司法試験の受験資格を得られることを素直に感謝し、努力を家族や友人と分かち合う。JDの学生は、借金して勉強している人も多いので、喜びというか安堵感はひとしおでしょう。卒業式ってそういう日なんです。終わりっていうより、1つの過程であり、まさにはじまりを祝う特別な日。
出会いには別れがつきもの。僕も、ゼミ生と出会えたことに改めて感謝して、新学期に臨みたいです。寂しいのもあるかな。やっぱり。寂しくないというと嘘になるけど、もう僕には教えられることというか、一緒に学べることがないので、別な世界で日々学び、活躍してほしいです。
ゼミ生はもちろん、卒業生、とくに法学部の卒業生に幸多きことを祈って。
(Congratulation to my students for their graduations on Mar. 25, 2019 at Aoyama Gakuin University, Shibuya Tokyo, JAPAN)
2019年3月23日土曜日
単なる"a hired gun"としての活動に未来はあるの?
"A hired gun"という言葉は、あまり使いたくないです。クライアントに雇われた弁護士のことを表す言葉なのですが、クライアントのためなら相手を徹底的に叩きのめすのも厭わないのが弁護士、そういうことが暗示されています。それは、ある意味で真実なんですけどね。皆が敵でも、皆がどんなに攻撃をしてきても「自分の」弁護士だけは自分の味方でいてくれる、っていう意味でもあります。
僕は弁護士ではないけど(笑)、クライアントの言い分をそのまま聞いて仕事を進めると、必ずしもクライアントにとって最善の結果にならないことがある、という現実は知っています。実体験として(笑)。僕ごときが知っていることなのだから、弁護士の先生なら、きっと知っているはず。それでも、結果的にお金をもらう以上、クライアントの意向をただ受け入れて、ないしぎりぎりの線まで受け入れて、書類や報告書を作成することがあるかもしれませんね。
最近のニュースを見聞きして、弁護士がかかわっているのに問題が逆にこんがらがっている感じの案件を見つけました。何の案件かはご想像にお任せしますけど、弁護士の先生が必ずしもすべてにおいて悪いわけではないかもしれない。クライアントの側の意向なのかもしれない。でも、結果を出せなければ意味がない。クライアントにとって最善にならないサービスを提供してしまったのはなぜなのか。逆に、クライアントも短期的な視点で、弁護士のサービスを食い尽くした感がありますよね。今回に関しては。
弁護士は経営判断には関与しないというのは、よく使われる素晴らしい理由付けなんですけど、これでクライアントは本当に生き延びたのかどうか。何より、かかわっている関係者の方々の満足度は改善しているのかどうか。記者会見中に、関係者から事実関係を訂正されるような事態は、僕はぜったいに経験したくないですね。。。もしされるなら、事前に訂正されることを想定しておきたいなって思いました。
どんな弁護士の先生に、どんな風に依頼するのか、どんなふうに事実関係を説明するのか、何を求めるのか、それによって緊急事態のコントロールの可能性は変わりうる気がします。今回の案件は、とても勉強になりました。いろんな意味で。弁護士の先生にお金を払って任せたら大丈夫、弁護士の先生に指示したから大丈夫っていうわけじゃないってことかもね。クライアントの側も、いろんな努力がいるってことですよね。皆さんが会社に入ったら、弁護士の先生をうまく使って、ないし、弁護士の先生にうまく依頼して、事態を改善させられるでしょうか。
僕は弁護士ではないけど(笑)、クライアントの言い分をそのまま聞いて仕事を進めると、必ずしもクライアントにとって最善の結果にならないことがある、という現実は知っています。実体験として(笑)。僕ごときが知っていることなのだから、弁護士の先生なら、きっと知っているはず。それでも、結果的にお金をもらう以上、クライアントの意向をただ受け入れて、ないしぎりぎりの線まで受け入れて、書類や報告書を作成することがあるかもしれませんね。
最近のニュースを見聞きして、弁護士がかかわっているのに問題が逆にこんがらがっている感じの案件を見つけました。何の案件かはご想像にお任せしますけど、弁護士の先生が必ずしもすべてにおいて悪いわけではないかもしれない。クライアントの側の意向なのかもしれない。でも、結果を出せなければ意味がない。クライアントにとって最善にならないサービスを提供してしまったのはなぜなのか。逆に、クライアントも短期的な視点で、弁護士のサービスを食い尽くした感がありますよね。今回に関しては。
弁護士は経営判断には関与しないというのは、よく使われる素晴らしい理由付けなんですけど、これでクライアントは本当に生き延びたのかどうか。何より、かかわっている関係者の方々の満足度は改善しているのかどうか。記者会見中に、関係者から事実関係を訂正されるような事態は、僕はぜったいに経験したくないですね。。。もしされるなら、事前に訂正されることを想定しておきたいなって思いました。
どんな弁護士の先生に、どんな風に依頼するのか、どんなふうに事実関係を説明するのか、何を求めるのか、それによって緊急事態のコントロールの可能性は変わりうる気がします。今回の案件は、とても勉強になりました。いろんな意味で。弁護士の先生にお金を払って任せたら大丈夫、弁護士の先生に指示したから大丈夫っていうわけじゃないってことかもね。クライアントの側も、いろんな努力がいるってことですよね。皆さんが会社に入ったら、弁護士の先生をうまく使って、ないし、弁護士の先生にうまく依頼して、事態を改善させられるでしょうか。
2019年3月15日金曜日
就活に答えはほとんどない
SPIに答えはあるけど、就活には答えなんてたぶんないですね。なんとなく、どの会社でも選考がうまくいく人と、そうでない人がいる。AIで分析したら、特徴は把握できるはずですけど、究極的な理由はわからない。最後まで、なんで落ちたのかはわからないんです。そういう意味では、大学で受ける定期試験などとはぜんぜん違う世界です。頑張って準備しても落ちるわけなので。定期試験では、そういうことはまずないです。
前から書いていますけど、法学部の学生にとって就活は苦痛でしょうね。普通は。だって、同じルールに、類似する事実を入れたら答えも同じになるはず、そういうロジックで学び続けてきたら、いきなり違う世界に放り込まれるのですから。ある会社の採用ルールに照らして、フィットするように努力した二人がいて、凄く似ているけど片方が合格し、片方が落ちる。そんなのはざらにある。本当は、法律の世界だってそんなに単純じゃないけど、大学で学ぶのは単純な話ばっかり。教科書で学ぶと、仕方ないですよね。実験室の話で学ぶと、真実の世界は見えなくなるってことです。
机上の空論よりも現場に行ってみたり触ったりする。実際に手にして動かしてみる。そういうひと手間が、就活には有効です。だって、実験じゃないから。相手は人で、貴重な時間を割いて、将来の会社にとって有用な人材を探し出そうと努力している。なんでもいいから僕やわたしを採用してっていうわけにはいかないでしょう。株主利益の最大化にもならないし。
だからこそなんですけど、大学4年間をかけて、魅力的な人間になってほしいです(僕はできなかったけど)。授業やゼミ、それ以外の活動を通じてです。究極的には、この人と一緒に働いてみたい、そう思ってもらえるかですから。4年って案外短いですよ。
4年生の人は、今からでも遅くないです。目先より本質を。自分らしさって何か、他の就活生と違う点、違うからこそ会社に貢献できそうな、会社にフィットしそうな点について真剣に考えてみましょう。話し方とかより百倍大事だと思います。
就活、どうか頑張ってくださいね。
前から書いていますけど、法学部の学生にとって就活は苦痛でしょうね。普通は。だって、同じルールに、類似する事実を入れたら答えも同じになるはず、そういうロジックで学び続けてきたら、いきなり違う世界に放り込まれるのですから。ある会社の採用ルールに照らして、フィットするように努力した二人がいて、凄く似ているけど片方が合格し、片方が落ちる。そんなのはざらにある。本当は、法律の世界だってそんなに単純じゃないけど、大学で学ぶのは単純な話ばっかり。教科書で学ぶと、仕方ないですよね。実験室の話で学ぶと、真実の世界は見えなくなるってことです。
机上の空論よりも現場に行ってみたり触ったりする。実際に手にして動かしてみる。そういうひと手間が、就活には有効です。だって、実験じゃないから。相手は人で、貴重な時間を割いて、将来の会社にとって有用な人材を探し出そうと努力している。なんでもいいから僕やわたしを採用してっていうわけにはいかないでしょう。株主利益の最大化にもならないし。
だからこそなんですけど、大学4年間をかけて、魅力的な人間になってほしいです(僕はできなかったけど)。授業やゼミ、それ以外の活動を通じてです。究極的には、この人と一緒に働いてみたい、そう思ってもらえるかですから。4年って案外短いですよ。
4年生の人は、今からでも遅くないです。目先より本質を。自分らしさって何か、他の就活生と違う点、違うからこそ会社に貢献できそうな、会社にフィットしそうな点について真剣に考えてみましょう。話し方とかより百倍大事だと思います。
就活、どうか頑張ってくださいね。
2019年3月14日木曜日
【お礼】2019年度のプレゼミの応募、ありがとうございました
プレゼミに応募してくれた学生の皆さん、本当にどうもありがとうございました。毎年、プレゼミも本ゼミも、学生が応募してくれるのか不安なのですけど、心より深くお礼申し上げます。最終的に選ばれなかった方も、授業や本ゼミでお目にかかれるのを楽しみにしています。
男女比とかGPAとか、ここには書きません(笑)。書きたいことはたくさんあるけど、それは入ってからのお楽しみ、ということで。僕が下した結論じゃなく、神の手によるものなので。
プレゼミって、学生の皆さんはどうやって選んでいるんでしょうね。
半期で、しかも本ゼミとは違う感覚で選ぶって、具体的にどうやるんだろうって思いました。
僕はプレゼミって、法律を楽しく学ぶのが第一だと思っています。題材を医療にしているのは、やはり身近で、分かりやすい気がして。それだけです。GPAは、仕方ないですよね。切られたら切られたですけど、最後はどのプレゼミでも楽しめるかどうか、そこを大事にしたいです。
僕自身は、大学生のころ、労働法と国際法のプレゼミに入っていました。労働法では、セクハラやパワハラに加えて労災事件を扱った記憶があります。生々しすぎてつらかったけど、債務不履行と不法行為の関係とか、行政法と民法の関係とか、幅広く学べました。労働法っていう科目の性質でしょうけど(笑)。実は、医療と法でも、民法、行政法、刑法をまんべんなく扱います。
プレゼミでは、法律の細かい論点を掘り下げるというより、事件自体の見方、論じ方、結論の正しさ、その理由の妥当性、結論が正しくない場合の是正方法、そういう点を重視したいと思っています。基礎中の基礎だけど、他のゼミではやらなさそうなことをやりたいですね。
プレゼミ、どうかお楽しみに。
男女比とかGPAとか、ここには書きません(笑)。書きたいことはたくさんあるけど、それは入ってからのお楽しみ、ということで。僕が下した結論じゃなく、神の手によるものなので。
プレゼミって、学生の皆さんはどうやって選んでいるんでしょうね。
半期で、しかも本ゼミとは違う感覚で選ぶって、具体的にどうやるんだろうって思いました。
僕はプレゼミって、法律を楽しく学ぶのが第一だと思っています。題材を医療にしているのは、やはり身近で、分かりやすい気がして。それだけです。GPAは、仕方ないですよね。切られたら切られたですけど、最後はどのプレゼミでも楽しめるかどうか、そこを大事にしたいです。
僕自身は、大学生のころ、労働法と国際法のプレゼミに入っていました。労働法では、セクハラやパワハラに加えて労災事件を扱った記憶があります。生々しすぎてつらかったけど、債務不履行と不法行為の関係とか、行政法と民法の関係とか、幅広く学べました。労働法っていう科目の性質でしょうけど(笑)。実は、医療と法でも、民法、行政法、刑法をまんべんなく扱います。
プレゼミでは、法律の細かい論点を掘り下げるというより、事件自体の見方、論じ方、結論の正しさ、その理由の妥当性、結論が正しくない場合の是正方法、そういう点を重視したいと思っています。基礎中の基礎だけど、他のゼミではやらなさそうなことをやりたいですね。
プレゼミ、どうかお楽しみに。
2019年3月11日月曜日
ピンチに追い込まれたらーやるべきことをタイムリーにやり続けるだけ
就活している皆さんも、そうでない人も、ピンチって必ず直面しますよね。どうしてますか?なんとなく、危機が過ぎ去るのを待つのも、学生のうちはよいかもしれないですね。大人になると、危機は過ぎ去っても事はそれでは終わらない。そのあとにも、責任問題とか、事後対応とか、いろいろあります(笑)。ピンチに追い込まれたら、あなたならどうしますか?
ピンチって、本当は追い込まれにくくしておく必要があります。どうしたらピンチになりやすいのか知っておく必要がある、ということです。逆説的な言い方をすると、学生のうちにたくさん、ピンチに遭遇しておきましょう。そうすれば、ピンチってどんなときにおこるのか、なんとなく、感覚的に分かるようになりますし、なにより、ピンチになっても動じなくなります。それってすごく大事です。なぜなら、大人になったら、逃げたくても逃げられないからです。会社のために、自分のために最後までやりきるしかないんです!
ピンチなので、自分の力ではもうどうすることもできなくなっている場合が多いわけですけど、どうするか。やはり、適時に、適切な人に相談し、報告することと、上司や責任者に指示を仰ぐことですかね。自分でどうしようもなくなっているのに、自分の手元に置いておいても事態は改善しません。いち早く事態を報告し、相談し、指示を仰ぎましょう。ここでは、正確に事実を伝えるだけでなく、現時点までに自分がした対応とその結果、今後の見通し、解決に使えそうなリソースなどを情報提供しなければならないでしょう。
一番苦しいのは、連絡が取れない場面です。スパイドラマや映画の世界ですね(笑)。この場合は、目の前で最善を尽くすしかないです。独りでよりは、誰かと知恵を絞り、助けが来るまで耐えきる。それに尽きます。独りで考えると、向こう見ずなになったり、リスクを見落とす可能性があります。
ピンチの時は、どうしても、目の前のことだけ考えてしまう。就活であれば、目の前の会社でお祈りをもらいそうとか、直近の面接のこととかです。でも、もっと大きくとらえてもいいかもしれません。なぜピンチに陥っているのかという原因について、考える時間はなかなかないかもしれないけど、誰かと、ほんの数分でも、分析して対策を考えられたら次に繋がります。最悪、目の前の会社でうまく振舞えなくても、その先、次の会社とはうまくやれるかもしれない。局所的な視点を少し広げてみる。そして、自信をもって、目の前の会社に向かう。その繰り返しが大事なんじゃないかなって思います。
僕も今、ある意味でピンチの真っただ中(笑)。先にはいろいろ待っているかもしれないけど、それはそれとして、ここで書いているように、今できる最善のことをタイムリーにやるだけ。覚悟を持ったら、前向きになれる。就活でもなんでも、前向きな人の方が感じがいいですよね。私ダメとか、もう何社も落ちたからダメじゃなくて、何社も落ちたけどここから〇〇を直していくぞ、そういう前向きさがピンチをチャンスに変えるんじゃないかな。
最後に、法学部にいると、どうしても「当てはめ」に慣れすぎちゃって、ちゃんとやったのに駄目だったって思いがちですけど(僕もそうでした)、現実社会は法学部で習うようには動いていない。ちゃんとやってもダメなことばかり。ルールどおりにやっても、うまくくいかないことはたくさんあります。前の会社でうまくいっても、目の前の会社や次の会社でうまくいかないこともある。OBやOGの話を聞いて、助言どおりに頑張ったのに、その会社に落ちるかもしれない。それが現実。驚くことはないです。だからこそ、自分を信じて、目の前の事態に対して最善を尽くしてください。失敗して、はじめてわかることがあるのですから。応援しています。
ピンチって、本当は追い込まれにくくしておく必要があります。どうしたらピンチになりやすいのか知っておく必要がある、ということです。逆説的な言い方をすると、学生のうちにたくさん、ピンチに遭遇しておきましょう。そうすれば、ピンチってどんなときにおこるのか、なんとなく、感覚的に分かるようになりますし、なにより、ピンチになっても動じなくなります。それってすごく大事です。なぜなら、大人になったら、逃げたくても逃げられないからです。会社のために、自分のために最後までやりきるしかないんです!
ピンチなので、自分の力ではもうどうすることもできなくなっている場合が多いわけですけど、どうするか。やはり、適時に、適切な人に相談し、報告することと、上司や責任者に指示を仰ぐことですかね。自分でどうしようもなくなっているのに、自分の手元に置いておいても事態は改善しません。いち早く事態を報告し、相談し、指示を仰ぎましょう。ここでは、正確に事実を伝えるだけでなく、現時点までに自分がした対応とその結果、今後の見通し、解決に使えそうなリソースなどを情報提供しなければならないでしょう。
一番苦しいのは、連絡が取れない場面です。スパイドラマや映画の世界ですね(笑)。この場合は、目の前で最善を尽くすしかないです。独りでよりは、誰かと知恵を絞り、助けが来るまで耐えきる。それに尽きます。独りで考えると、向こう見ずなになったり、リスクを見落とす可能性があります。
ピンチの時は、どうしても、目の前のことだけ考えてしまう。就活であれば、目の前の会社でお祈りをもらいそうとか、直近の面接のこととかです。でも、もっと大きくとらえてもいいかもしれません。なぜピンチに陥っているのかという原因について、考える時間はなかなかないかもしれないけど、誰かと、ほんの数分でも、分析して対策を考えられたら次に繋がります。最悪、目の前の会社でうまく振舞えなくても、その先、次の会社とはうまくやれるかもしれない。局所的な視点を少し広げてみる。そして、自信をもって、目の前の会社に向かう。その繰り返しが大事なんじゃないかなって思います。
僕も今、ある意味でピンチの真っただ中(笑)。先にはいろいろ待っているかもしれないけど、それはそれとして、ここで書いているように、今できる最善のことをタイムリーにやるだけ。覚悟を持ったら、前向きになれる。就活でもなんでも、前向きな人の方が感じがいいですよね。私ダメとか、もう何社も落ちたからダメじゃなくて、何社も落ちたけどここから〇〇を直していくぞ、そういう前向きさがピンチをチャンスに変えるんじゃないかな。
最後に、法学部にいると、どうしても「当てはめ」に慣れすぎちゃって、ちゃんとやったのに駄目だったって思いがちですけど(僕もそうでした)、現実社会は法学部で習うようには動いていない。ちゃんとやってもダメなことばかり。ルールどおりにやっても、うまくくいかないことはたくさんあります。前の会社でうまくいっても、目の前の会社や次の会社でうまくいかないこともある。OBやOGの話を聞いて、助言どおりに頑張ったのに、その会社に落ちるかもしれない。それが現実。驚くことはないです。だからこそ、自分を信じて、目の前の事態に対して最善を尽くしてください。失敗して、はじめてわかることがあるのですから。応援しています。
2019年3月7日木曜日
毎年、少しずつゼミを変えたいーゼミだって、変わらなきゃ
僕は青学で5年目になります。3年で一区切り、そう思いながら×2倍になりそうな勢い(笑)。時間をかけて、各ゼミ生のおかげで、ゼミはだんだんと形になってきているようには思います。かつて、マイナーな「医療と法」を扱うゼミでしかなかったけど、いまは普通のゼミ。でも、まだ普通のゼミでしかないです。この先がまだまだある。僕が青学にいる限り、ゼミは変えていかなきゃいけないなって思っています。少しずつでもよくなるように。
少しずつでもゼミをよくするってなんだろうって考えると、なかなか答えが出ないんですよね。学生の満足だけで計ると、最悪、楽なだけになってしまいそうだし。逆に、社会でためになるっていってみても、それだけだと学問的な部分は欠如しかねない。バランスを取りながら、別なゼミとの差別化を図る。このゼミにしかない売り物を常に考えています。
そういう意味では、常に「挑戦」しています。新しさ、他にないものを提供できるように、皆で創り出せるように。だから、リスクを取ってみています。青学内外でイベント開いてみたり、新しい分野で論文を書いたり、講演したり。テレビに出るような派手さはないけど(笑)、それでも、ゼミに還元できるようにまずは自分でリスクを取ってみています。だって、リスク取らない人が「リスクないところにリターンはない」っていってみても空虚でしょ。失敗を知らない人がリスク取れなんていえないですよね。だから、自ら、普通しないようなことに身を投じてみています。まあ、単に面白いから、やってみたいからでもあるんだけど(笑)。それで、あとから後悔したりして。
法律を学ぶって、究極的に言えば、人よりうまくリスクを取れるようになる、そこに価値がある。なぜなら、リスクを軽減したり増やしたりする要素の1つに、法令やガイドラインがあり、それをうまく使えた人の方が、リスクをコントロールしやすいから。僕らは、それを医療という題材、すなわち、最もハイリスクな分野の1つを扱って学ぶわけです。別に、法学部を出なくても法律書は読める。勉強もできる。でも、そんな紙の知識じゃない、生々しい世界を僕らは体験する。人の生死に向き合い、法令等を同のように駆使してクライアントを守るのかを考える。その場で必死に考えて、議論し、メモに起こし、プレゼンの形にする。それが僕のゼミ。
(たぶん、法律に対する見方がぜんぜん違うゼミなんだと思います。)
堅い法律論も大事だけど、ルールに事実をあてはめるだけ、判例や学説を覚えるだけの4年間じゃ物足りなくない?僕は、もう少し別なやり方で皆と法律を学びたいです。
明日からはじまるプレゼミに応募でも、そんなゼミでもよかったらぜひ、応募してください。これからゼミに入る新3年生は、最初の講義で僕がどんな事例を使うのか、楽しみにしてほしいです。新4年生は就活でお忙しいでしょうけど、去年にもまして実践的にやりたいですね。人数が少ないときは、リアルタイムの本格的なディスカッションもはじめてやってみようかな(笑)。
少しずつでもゼミをよくするってなんだろうって考えると、なかなか答えが出ないんですよね。学生の満足だけで計ると、最悪、楽なだけになってしまいそうだし。逆に、社会でためになるっていってみても、それだけだと学問的な部分は欠如しかねない。バランスを取りながら、別なゼミとの差別化を図る。このゼミにしかない売り物を常に考えています。
そういう意味では、常に「挑戦」しています。新しさ、他にないものを提供できるように、皆で創り出せるように。だから、リスクを取ってみています。青学内外でイベント開いてみたり、新しい分野で論文を書いたり、講演したり。テレビに出るような派手さはないけど(笑)、それでも、ゼミに還元できるようにまずは自分でリスクを取ってみています。だって、リスク取らない人が「リスクないところにリターンはない」っていってみても空虚でしょ。失敗を知らない人がリスク取れなんていえないですよね。だから、自ら、普通しないようなことに身を投じてみています。まあ、単に面白いから、やってみたいからでもあるんだけど(笑)。それで、あとから後悔したりして。
法律を学ぶって、究極的に言えば、人よりうまくリスクを取れるようになる、そこに価値がある。なぜなら、リスクを軽減したり増やしたりする要素の1つに、法令やガイドラインがあり、それをうまく使えた人の方が、リスクをコントロールしやすいから。僕らは、それを医療という題材、すなわち、最もハイリスクな分野の1つを扱って学ぶわけです。別に、法学部を出なくても法律書は読める。勉強もできる。でも、そんな紙の知識じゃない、生々しい世界を僕らは体験する。人の生死に向き合い、法令等を同のように駆使してクライアントを守るのかを考える。その場で必死に考えて、議論し、メモに起こし、プレゼンの形にする。それが僕のゼミ。
(たぶん、法律に対する見方がぜんぜん違うゼミなんだと思います。)
堅い法律論も大事だけど、ルールに事実をあてはめるだけ、判例や学説を覚えるだけの4年間じゃ物足りなくない?僕は、もう少し別なやり方で皆と法律を学びたいです。
明日からはじまるプレゼミに応募でも、そんなゼミでもよかったらぜひ、応募してください。これからゼミに入る新3年生は、最初の講義で僕がどんな事例を使うのか、楽しみにしてほしいです。新4年生は就活でお忙しいでしょうけど、去年にもまして実践的にやりたいですね。人数が少ないときは、リアルタイムの本格的なディスカッションもはじめてやってみようかな(笑)。
2019年3月3日日曜日
事実と意見ー質問されたとおりに、求められたとおりに、あなたは答えられる?
最近、ニュースを読んでいて、事実と意見の区別について面白いなって思いました。就活でも使えそうなネタなので、書いてみます。
事実と意見の違いは、法的には意外と大きいですよね。名誉棄損とかが恒例ですけど、日本では名誉棄損を理由とする損害賠償って、意見だからという理由では救われないんですね(笑)。まあ、損害とか影響を気にする日本の民法では、当然といえば当然かも(本当は、意見には正しいも正しくないもなくて、情報の自由市場の人気で当否が評価されるだけのはずだけど)。僕を嫌いっていう意見を書いたりいったりするのと、僕が嫌われているって書いたりいったりするのは、本当は全然違うでしょう。
話を就活の場面に限定して言うと、質問を求められたり、〇〇ってどう思うっていう意見を求められる場合があります。大事なのは、質問されたように答えること。要求が意見なら意見、質問なら質問をってことです。ただし、質問を求められて質問すると、普通は何で気になるって聞かれるかもしれない。そうすると、自分では△なのかなって思ったのですが、念のために教えていただきたくてっていうように、自分の意見を話さざるを得なくなることもあります。
相手が命じてくれたり、何か質問ある?〇〇に意見ってあったら教えてって話してくれる場合はまだましで(笑)、通常は会話の中、コミュニケーションの中で自然に話せないとうまく評価されないかも。会話が途切れた時、実はこんなことに関心があるのですけど、□について教えてもらえますか。→いいよ。なんで?→前に説明会に出た時に、とか、インターンしたときに、こんな経験をして。それで気になったんです。→なるほどね。それはね・・・(ここでの質問が本質的なものかどうかは、もちろん大事です。)
言いたかったのは要するに、事実と意見って使い分けも大事ですけど、どう使うのかによって印象に影響が出るということ。意見ばかりでも質問ばかりでもうざいかもしれない。バランスよく、相手とコミュニケーションを取れたらいいですよね。記者会見でも就活でも。
事実と意見の違いは、法的には意外と大きいですよね。名誉棄損とかが恒例ですけど、日本では名誉棄損を理由とする損害賠償って、意見だからという理由では救われないんですね(笑)。まあ、損害とか影響を気にする日本の民法では、当然といえば当然かも(本当は、意見には正しいも正しくないもなくて、情報の自由市場の人気で当否が評価されるだけのはずだけど)。僕を嫌いっていう意見を書いたりいったりするのと、僕が嫌われているって書いたりいったりするのは、本当は全然違うでしょう。
話を就活の場面に限定して言うと、質問を求められたり、〇〇ってどう思うっていう意見を求められる場合があります。大事なのは、質問されたように答えること。要求が意見なら意見、質問なら質問をってことです。ただし、質問を求められて質問すると、普通は何で気になるって聞かれるかもしれない。そうすると、自分では△なのかなって思ったのですが、念のために教えていただきたくてっていうように、自分の意見を話さざるを得なくなることもあります。
相手が命じてくれたり、何か質問ある?〇〇に意見ってあったら教えてって話してくれる場合はまだましで(笑)、通常は会話の中、コミュニケーションの中で自然に話せないとうまく評価されないかも。会話が途切れた時、実はこんなことに関心があるのですけど、□について教えてもらえますか。→いいよ。なんで?→前に説明会に出た時に、とか、インターンしたときに、こんな経験をして。それで気になったんです。→なるほどね。それはね・・・(ここでの質問が本質的なものかどうかは、もちろん大事です。)
言いたかったのは要するに、事実と意見って使い分けも大事ですけど、どう使うのかによって印象に影響が出るということ。意見ばかりでも質問ばかりでもうざいかもしれない。バランスよく、相手とコミュニケーションを取れたらいいですよね。記者会見でも就活でも。
2019年3月2日土曜日
AI時代のキャリア選択と仕事術、青学で考えてみませんか(2019年3月14日)
AI時代のキャリア選択と仕事術、関心がないヒトはいないですよね。
実は、2019年3月14日、青学ではヘッジファンド、コンサルティングファーム、そして本学の出身でテレ朝「グッド!モーニング」に出演中の福田成美アナを招いて、AI時代のキャリア選択と仕事術を考えるイベントが開催されます(16時半~18時)。就活にも役立つかもしれません。もし、お時間の許す方はぜひ応募ください!
なお、今回のイベントは大学生、そして青学の教職員のみに公開されます。ご関心のある方はぜひ、お越しいただければ幸いです。
http://www.aoyama.ac.jp/research/event/190314
他ではぜったい聞けない話、AI時代をとりあえず生き抜くための術を手に入れてください!お待ちしています。
実は、2019年3月14日、青学ではヘッジファンド、コンサルティングファーム、そして本学の出身でテレ朝「グッド!モーニング」に出演中の福田成美アナを招いて、AI時代のキャリア選択と仕事術を考えるイベントが開催されます(16時半~18時)。就活にも役立つかもしれません。もし、お時間の許す方はぜひ応募ください!
なお、今回のイベントは大学生、そして青学の教職員のみに公開されます。ご関心のある方はぜひ、お越しいただければ幸いです。
http://www.aoyama.ac.jp/research/event/190314
他ではぜったい聞けない話、AI時代をとりあえず生き抜くための術を手に入れてください!お待ちしています。
2019年3月1日金曜日
記録:データ契約の将来と展望
第73回STIG PoPセミナー
「データ契約の将来と展望」
2019年2月25日(月)18:00~19:30
リファレンス新有楽町ビルY203号室で開催
(お越しいただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。)
パネリスト(50音順)
内田 誠 iCraft法律事務所(アイクラフト法律事務所) 弁護士・弁理士
城山 英明 東京大学大学院法学政治学研究科 教授
羽深 宏樹 経済産業省 商務情報政策局情報経済課 課長補佐 弁護士
安平 武彦 経済産業省 商務情報政策局情報経済課 課長補佐 弁護士
(写真はすべて、フォトグラファーの今祥雄氏によるものです。)
- 21 世紀のデータ駆動型社会は、AIやデータ利用に関する技術的な発展だけでは実現できないー契約等の法的なツールを利用できて、はじめて実現しうる
- イノベーティブな契約書を生み出すことは極めて難しく、米国でも守秘義務等が障害になって契約書の内容をイノベーティブなものにする試みはなかなかできていない中で、日本におけるデータ契約ガイドライン作成の試みは先進的なもの
- 必要なプライバシー保護やセキュリティの確保を大前提として、契約自由の原則のもと、データ契約はグローバルな枠組みの中に置かれうる(Data Free Flow with Trust)
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