「わたし、一円でも安いお店を見つけるの得意なんです!細かく思うかもですけど、ある案件に最適な解を発見するっていうのが楽しいですし、一円積み上げて彼と海外旅行で思い出作るんです!」
「わたし、一円でも安いお店で野菜買っています!細かく思うかもですけど、一人暮らしって以外と大変なんです!比較的安いお店で買うのが得意になりました」
上記2つの文章は、ほとんど同じ内容を含んでいますけど、印象は全く違うと思いません?大学で法律を学んでいると、どっちだって事実としては同じで、判例や法令に適用したら変わらない結論が導き出されるだろうっていう錯覚に陥ってないでしょうか。そんなことないかもしれませんよ。
ある判例や法令で、要件として3つの事実が必要だとしましょうか(A, B, C)。今、目の前にはDという別の事実が含まれているとのこと。Dがあっても、3つの事実A, B, Cがあるから、同じような法適用になるでしょうか?もし、Dが事件の性質として明らかに重大なものであるとしてもそう言えます?もし、同じような法適用を臨むなら、DはABCに紛れ込ませるというか、重大ではないのだという形で説明することになりますし、逆に、違うような法適用を臨むなら、DはABCを打ち消すくらい重大なものなのだ、という説明をしなければなりません。目的によって、利害関係によって、持っている事実が同じでも説明が変わってくるってわかります?
ちなみに、法律の世界だけでなく、就活でも同じですよ~。自分が持っている資質を、各社の採用方針やコーポレートポリシーに照らして、最大限生かすようにプレゼンできるかどうかだと思います。
実際に仕事してみると、きっとすぐに理解できますよ。
謝罪とか、好例中の好例でしょう。同じ事実に基づいて謝罪するとして、謝罪の仕方を誤れば、
「炎上」して取り返しがつかなくなります。嘘は言えないですが、どんな順序で、どのように説明し、
どうしてこのような事態を招いたのか、そこにどんな特別な事情があるのかないのかなどを
組み込んでいきます。
おそらく、大学で4年間法律を学んでも、気づかないままで過ごしてしまうヒトが多いでしょうけど、法律が面白いのは法解釈に幅がありうるここと、法と事実の両方を駆使して世界が動いているってる2点に尽きます。ちなみに、トランプ大統領の政権では、政権内部で法解釈が割れていて、その結果、大統領と異なる法解釈を採る官僚は政権を去ることになります。事実の扱い方も、新政権とオバマ政権からの官僚ではまるで違うようです。合衆国最高裁の判決が出るまで、このような綱引きというか、法解釈を巡る混乱は続くでしょう。大統領は、人事権を行使して法解釈を徐々に統一化していくでしょうね。