正義が勝てないのは、正義って誰の正義かっていう点を保留にしているから。別に、政治の話をしなくても、皆の正義ってなかなか難しいですよね。ある宗教から見た正義、ある組織から見た正義、ある個人から見た正義はそんなに難しくないんですけど、皆にとっての正義って、皆が同じものに究極の価値を置いていないと、ね。
法学部に入って、この事実に気づけたら、法律の勉強はもっともっと面白くなるはず。誰のために法律を使うのか、皆のためってかっこいいけど意外に難しいんだよなということに、1年生の早いうちに気づいてほしいです。
高校生までは、この世に正義はただ1つ。教科書がすべて、先生が言うことがすべてだったはずですけど、大学では違います。先生も間違えるし、教科書だって数ある文献の1つに過ぎないことを知ります。この世に神がいるとして、先生や教科書は神のような存在では決してない。
今日、あるニュース記事を見た知り合い(同僚)が、なんで正義が負けるんですかって質問してきたので、正義は負けますよというか、必ずしも勝てないですって答えました。
誤解してほしくないのは、正義に負けてほしいんじゃなく、正義は1つじゃないし、場面場面に応じて変わってきやすいもの。だからこそ、正義が負けるなんてという言葉にはあまり価値がなくて、どうして負けたのか、どうしたらその人の正義を貫けたのかを分析し、あらためて実践してみるしかないんです。だって、時間はぜったいに戻せないんですから。
(A photo taken at a temple, in Nakano Special District)
