「虹」って曲が凄く好きです。法律とは全く関係ないけど、スパイ映画とか観ていると、結局、信じられる誰かをどれだけ持てるかが勝負だなぁ、って感じるんです。絶対に裏切らない人なんていないけど(笑)、まあ、それでも信じたいと思える人はこの世に必要です。すべての事象に、仮にプランBやCを用意していたら、必ず保険倒れになるので。
「虹」とはぜんぜん関係ないですが、法学部は本来、危機に最も強いはずの学部です。そうでなければ、法律を学ぶ意味がないですから。リスク上等、かかってこい(笑)。やりたいことをやるためにどんなプロセスを設け、どんな陣容で、どんな風に準備し、懸念が顕在化したらどうするか、それらを考えられて、実際に「実施できる」のが法学部。僕はそう信じて止みません。やりたいことがないなら仕方ないけどね。法律は道具だから、やるかやらないかとか、どうしたいかっていうことは決められない。そこはどうしようもないんです。
「虹」に引き付けていうなら、前に進むって決めたら、地平線に虹かけるって決めたら、どう進めるべきかは自ずと決まってきます。無数の選択肢の中から、諸条件によって決まるんです。失敗しても、得られるものは必ずありますよ。行きたい方だけ決めてくれたら、あとは法学部での知識を使える。
だから、僕がゼミで大事にしているのは、実は法っていう道具の使い方より、自分でどこに行きたいか、自分で何を正しいと思うのかの方。自分でどこに行きたいか、自分で何を正しいと思うのかを見いだせたら、あとはそれを正当化する方法を身に着けることです。自分でどこに行きたいか、自分で何を正しいと思うのかについては、僕はぜったいに教えられない。そこに行きたいなら、それを正しいと思うなら、どんな法的な道具とエビデンスを駆使すればいいか、それなら少しは教えられます。
虹ではないけど、他人がどう思おうと、いいじゃないですか。答えがない世界で、何を思っても、どこに向かってもいい。法は、それをサポートするための道具として使い尽せばいい。
いろいろあって、新入生は不安かもしれないですね。大丈夫。法学部では、危機だからこそ学べる、危機でなければ学べない面白い知識や経験を必ずや提供するつもりなので。