2018年11月9日金曜日

時間は有限だけど、誰と過ごし、何をする?

歳をとった証拠かもしれませんけど、最近、疲れやすいです。昨日も、「法と経済」の講義を終えたら、数分間は立ち上がれないくらいでした(笑)。

講義をしていても、ゼミをしていても感じるのですが、単に出席だけしてもあまり意味はない気がします。先生の中には、出席するのは当たり前、そういう人はいますね。僕も、ゼミは基本的にはそう思います。でも、出席していればいいとは思わない。講義も、出席していた人が高得点を取りやすいのは当然としても、ただ話を聞いているだけでは、ほとんど価値がない気がします。要するに、自分の取り組み方次第で、講義もゼミも効果が変わってくるのではないか、ということです。

単位は大事です。お金を払って大学に来て、単位を修得できなければ卒業できず、働きたいところで働けなくなってしまう。そういう意味では、コツコツと単位を取るために最低限出席だけはしよう、そういう心構えを否定するつもりはありません。むしろ、素晴らしい。ただ、どうせ出席するなら、主体的に出席した方が時間やお金の観点からすれば、より有効なのかな、そう思うのです。

たとえば、ダイエットやスポーツのトレーニングでも、継続していれば短時間で効果が出る、そういう話を聞いたことがありますよね。大事なのは時間ではなく、継続とやり方なのだと。

法律問題は、普通、答えが1つになることはなかなかない。さまざまな制約条件や事実関係を考慮すれば、1つになることはありますが、それを選び出す過程でさまざまな可能性を考えなければならないでしょう。講義やゼミではどうか。模範というかモデル回答は用意されていて、それに誘導されますね(笑)。普通は、それを覚えるだけ。僕の話をぜんぶ暗記するなんてナンセンスだけど、それでも暗記すれば試験には通る。でも、なぜモデル回答になるのか、変じゃないか、別な回答の方が望ましくないのかなどなど、自分で考えたらより知識を深めることができるはず。もっといえば、別な問題が出ても怖くなくなります。正解を覚えるのではなく、正解を発見する、ないし作り出す方法を学ぶのが大事であり、それは出席して話を聞いているだけでは無理だ、ということです。

正直に言うと、僕は昔ほど、講義室全体を歩き回って全員にマイクを回す元気がないけど、マイクが回るか回らないかにかかわらず、常に、自分の頭で考えてみてほしいです。目の前の事案の答えはこれで本当に正しいのかどうか。この先、類似の事件が発生しても本当にこれで望ましい結論を導けるのかどうか。もっと視野を広げて、社会的な影響はどうなのかなどなど、考えられるところはたくさんあります。

答えが1つじゃないなら、どうやって相手を納得させるか。それは、プレゼンであり、リーガルメモです。プレゼンやメモを駆使して、相手にほかの結論よりもこの結論がマシ、ないし明らかにベターなのだ、と示せるかどうか。それで、世界は回っている。もちろん、納得してくれない可能性もあるので、その場合の対策も事前に考えておきます。最悪の事態は、未然に予想して備えておけばよい(笑)。そこまで考えて、普段、プレゼンしてないでしょう。A案がだめならせめてB案、その提案の仕方で、結果は変わるかもしれませんよ。だから、ゼミでももっともっともっとシリアスに、自分なりのプレゼンを探求してほしい。

貴重な時間、仮に講義やゼミに割くなら、誰とどう使いますか?出席しないよりはした方がいいけど、もっと効率的に、効果的に時間を使ってみませんか。逆に言えば、僕のような教員は、他に時間を割くよりも講義やゼミに割いた方がベター、そう思わせるような講義やゼミを提供し続けないといけないのではないか、そう個人的には思っています。