2019年4月28日日曜日

法学部って面白い?-学問入門講座に寄せて

先日、青学高等部と横浜英和高等部の学生向けに、講義をしました。「高等学校と大学との接続における一人一人の能力を伸ばすための連携」(高大連携)という枠組みに基づくものです。わたしにとっては、オープンキャンパスを除けば、高校生向けにはじめて講義を提供する貴重な機会でした。お集まりいただいた高校生の皆さん、このような機会を下さった高等部の先生方と青学のご担当部局に、厚くお礼申し上げます。

僕は、法学部って面白いと思います。アメリカには存在しない学部ですし、学部レベルで法学と政治学を広く学べるのは、将来にとって貴重だと思います。もちろん最近は、国政経とか総文など、複合的かつ学際的な学部の方が人気、なんだとは思いますけど、法学部ってそもそも実学で、基礎と応用を兼ねている学部なんですよね。最も古い部類の大学(確か、ボローニャ大学)にも設置されていた学部で、人間の生活や営みと切っても切れない学部なんです。

法律は言葉の学問。法学部を出たら、言葉とルールで食べていく、生きていくんです。言葉を大事にしないヒトには向かないかもな、と思います。赤色って赤でしょうというあなたには、法学の魅力はわからないかもしれないです。赤にもいろいろある。ワインにもいろいろある。血のような赤色って具体化しても、まだ足りない。血のような赤色にもいろいろあるからです。もちろん、ルールに当てはめた時に結果が変わらない違いなら放置してもよいけど、変わるなら言葉の定義を洗い直し、どうやって自分に有利に使いこなすか。そういう学問です。

政治も言葉の学問ですけど、ルールよりパワーが大事です。民主主義の国では、「票」ですね。だから、投票行動や政策形成のプロセスの研究や分野が、最も注目を集めるわけです。票があれば、いや、衆議院の過半数の議席を持つ党は、法律も予算も条約も自由自在に使えるわけで、そこではルールの中身より、自由自在に使える地位こそ重要、だとは思います。

僕は、法と政治をそんなに厳密に切り離して考えていません。主流派の考えではないですけど(笑)、アメリカで一度でも法律を勉強すれば、それは当然。既存のルール(ないしその解釈)で救えないなら、ルールを変えるしかない。ルールの中でも法律を変えようとすれば、国会で票がどうしても必要になる、そして国会で票を集めるにはルールの中身も大事になる、というわけです。

法曹にならなくても、法学部の知識は使えます。企業の営業、総務、公共政策部門でも、公務員としてでも。もちろん、国際公務員でもNPOでもです。

ちなみに、僕より講義がうまい人は法学部にたくさんいます。僕の講義でがっかりした人も、僕だけで法学部を悪く思わないでくださいね。

最後になりますけど、高校生の皆さん、もしよかったら是非、法学部にも関心を持ってください。法学部は、言葉を使う学問の中で最も実学寄りで、凄く面白いですよ。一度、法学部を辞めようと思った僕がいうんだから、ホントです。


2019年4月20日土曜日

基本は難しい?-プレゼンの極意って何だろう。

講義や研究以外の活動が多かった1週間が終わりました。抜け殻みたいに何も残っていないのですけど、ちょっと書き残しておきたいと思いました。

プレゼンは、教わってもすぐにはうまくならない、ってことだけ改めて書き留めておきます。プレゼンの基本は、ネットでも検索できるでしょうし、本でも読むことができます。でも、大事なのは基本の内容ではなく、それを人前で着実に実践できることです。慣れが要りますし、細かい点がプレゼンとして大きな差を生み出します。英語であれば、なおさらですよね。だって、母国語じゃない言語を使って話すわけで、基本を忠実に守ること自体が難しいからです。

話し方は、予想以上に印象に影響します。どんなに頭が良くても、綺麗に話せなければその頭の良さの半分も理解されません。文章も同じです。内容が素晴らしくても、最後まで読んでもらえないで終わることはたくさんあります。

学生の皆さんの吸収力はとても高くて、ちょっと助言したら、格段にプレゼンがうまくなります。今日、僕はそんな場面に遭遇しました。話す内容がほとんど変わらなくても、話し方をちょっと変えるだけで、あんなにも印象が変わるんですよね。皆のプレゼン、もっともっと良くなるんじゃないかな。

プレゼンの究極は、自分の言葉で自分らしく話すこと。そこに至るまでには、基本に基本を重ねてほしいです。わかった気にならないで、プレゼンの練習を繰り返してくださいね。

就活では、臨機応変さや自然な印象がモノを言います。付け焼刃では勝負できません。
急に10分のプレゼンを5分にしたり、急に英語で話したり、急にアナウンスをしなければならなかったり。いろいろな場面で、プレゼンの練習をすることができます。

最後は、やはり相手を見ること。寝てる人がいたらショックですけど、それは仕方ないです(笑)。メッセージの受け手を具体的にイメージして、話すときにはその人を見る。それだけで、メッセージの伝わり方は格段に変わりますよ。メモを見てもいいですけど、必ず顔を上げて、相手に目線を送りましょう。そうすると自然に、本気で相手に伝えたくなります。何が大事なのかを必然的に考えるようになります。

改めて言いますけど、プレゼンの基本を実行するのは難しいです。
だからこそ、何度も何度も、プレゼンの基本を確かめながら、人前で話す機会を作ってください。きっと、プレゼンが劇的にうまくなりますから。

2019年4月16日火曜日

目標を持とうー達成できないところからすべてははじまる?

新学期がはじまりましたね。あっというまに月の半分が過ぎました。それに、1月から考えると、もう4分の1を終えて、3分の1を終えそうな勢いです(笑)。早いですね。

授業をしていたり、ゼミで一緒に学んでいて思うのは、何かしら目標が要るかなっていうことです。目標は、あれば達成しようと努力し、未達なら反省を余儀なくされます。別に、自分で立てて自分で破るのは勝手。それはそうなのですけど、目標がなければ、ただ時間を使うだけです。時間を浪費します。アルバイトでお金を稼いでいるから浪費ではないかもしれないけど、その時間をもし、もっというような機会に使えたら、人生は一変するかもしれないですよね。機会費用の観点からすれば、目標は立てた方がよいです。

よく、就活の前に「何をやりたいかわからない」っていう話を聞きます。僕も、大学生のころはそうだったかな。でも、何をしてお金を稼ぎ、どんな生活をしたいのか、そういう視点で考えてみてほしいです。人生の目標っていうのかな。そこから逆算して、どんな企業に入りたいのか、考えてみたらいいです。意外とですけど、半期でできることは多いですよ。皆さんが思っているよりも。

青学で僕は、最低限いくつかやりたいことがあって、そのうちの多くを実現してしまいました。あとは、本を書くことくらい。それができたら、あとは思い描いていた夢の先になります。少し時間がかかっても、やりとげられてよかったと思います。もちろん、失敗というかいろいろ嫌なことや面倒なこともありましたけど、意外と何とかなるものです。お金儲けとかではぜんぜんないですけど、何より楽しかったし、青学や学生や社会のためにも少しはなればいいなと。

失敗してもいいじゃないですか。就活もそうですけど、ある会社でだめでも、別な会社がある。失敗してはじめてわかることもある。数打てば当たるとは違って、経験でしか学べない、失敗でしか学べないことがあるってことです。失敗が失敗じゃなくて成功の基ってこともある。学生の皆さんには、それを実感してほしいです。一番の希望が手に入らなくても、まだ先はある。人生はまだまだありますから、ご心配なく。これも縁だと思って、前向きに生きましょう。ちなみに、僕はずっとずっと失敗してました。大学生から大学院生のころまではもちろん、社会人になってからも。


2019年4月1日月曜日

記録:シンギュラリティを見据えて働く

シンギュラリティを見据えて働く
「AIが変えたもの、変えていくもの、変えられないもの」

2019年3月14日(木)16:30~18:00
青山学院大学渋谷キャンパス17号館で開催

●塩野誠(株式会社経営共創基盤(IGPI) 取締役マネージングディレクター、株式会社ニューズピックス 社外取締役)
●岡田洋隆(アルファダイン・アセットマネジメント・ホールディングス・リミテッド 日本における代表者)
●福田成美(株式会社セント・フォース フリーアナウンサー




  ―AIの発展によって、人は新しい能力を見つける―


■AIの発展は、人間の可能性や能力を再発見させてくれる好機!
■AIが不得意で、人間ができることを見つけ出し、先回りする!
■怖がるというより、むしろ自分から楽しむもの!
■将棋の羽生善治氏
⇒ AIに負けるかもしれないけど、新しい将棋の指し方を見つけ出して勝てたら、AIが知らない、人がまだ見たことのない世界に到達できる!(See 高川武将「羽生善治が「あえて不利な手」を指す理由」プレジデントオンライン(2019年1月10日), available at https://president.jp/articles/-/27216)
⇒ AIが知らない世界を、人間は先に見ることができる!
■投資の神様、バフェット氏だって失敗する
⇒逆に言えば、どんな人だってAIの時代に自ら対応しないと、損をしてしまう?
■リスクのない世界はないし、リスクがないところにリターンはない!
■だからこそ、AIの可能性と限界を知ろうとする努力が大事!

 (写真はすべて、フォトグラファーの今祥雄氏によるものです。)