学生のうちはなかなか気付きませんが、世の中のありとあらゆる「資源」(resources)は有限です。お金、時間、身体(体力)、人脈など、すべて限度があります。有限の世界では、選択と集中をせざるを得ない、ということです。
ゼミで言えば、すべてを兼ね備えるゼミを作り上げることはおよそ不可能です。ゼミを可能な限り楽に、楽しくすれば、その分だけ何かの重要な要素は必ず欠けます。たとえば、締め切りまでに必死に調べ物をして、グループのメンバーと何かを作り上げるような有意義な活動はできなくなります。逆に、厳しく、最先端の法律問題を延々議論するゼミにしたらどうでしょう。楽しい面もあるでしょうが、疲れるし、楽じゃないでしょう(笑)。きっと休みたくなります。最悪、勉強が嫌いになります。
僕のゼミは、ぜんぜん完璧じゃないです。ある意味で、法的なセンスを磨き上げて、それをメモやプレゼンの形で実務において使えるようになるためのゼミなのだ、と割り切っているから、何とか成立しています。前にも書きましたが、明らかに「ハイリスク・ハイリターン商品」です(笑)。リスク警告も、合理的な範囲で事前にしています。
僕自身が、普通の綺麗な経歴ではないし(笑)、どちらかというとかなり実務よりの研究者であることから、他のゼミとはかなり異質のはず。それは、僕の講義で十二分に明らかでしょう。
何でもできるのはよいことですが、それは正直、何も極めていないのと同じです。何でもできると思うなら、その中でどの能力をを特に伸ばすのか、逆にどこが相対的に弱くて、弱い部分をどうやって補うのか、そういう思考が必要だと思います。
ゼミも授業も、そして僕自身も、半期として同じものはありません。常にレビューにより、改善すべく変更が加えられています。そして、反省点の中からより集中的に改善すべき点に投資を行うわけです。失敗するかもしれませんが、それは不完全な「人」だから仕方ない。大事なのは、合理的な注意をしながら継続的な改革を続けることでしょう。
皆さんにも、前期で満足して欲しくはないです。まだまだ伸びるはずです。そのとき、忘れて欲しくないのは全部の面で素晴らしい人間にはなれないってこと。「選択と集中」がどうしても要ります。頑張りましょう。
(A photo taken at the Tokyo Midtown Hibiya, in Aug. 2018, in Chiyoda-ku, Tokyo, JAPAN)
