2016年8月30日火曜日

ゼミを通じて得て欲しいもの


ゼミで得ておいたらよいものが2つあります。それは、1つは「友人」、もう1つは「他の人ができないであろう活動」です。以下、順に簡単に説明します。

大人になると、なかなか友人を作るのは難しいですが、大学時代にはそれが可能です。大人になると、誰しもさまざまな利害関係があって、損得関係のない本当の友人になろうとしても、不可能に近いように思います。大学時代には感じることのできない壁が、大人になると実感できます。だからこそ、(サークルでもバイトでも構いませんが)ゼミなどを通じてぜひ掛け替えのない友人を1人でも作ってください。それは、人生にとって"priceless"な財産になると思います。

友人作りに加えて、何かしら他の人にはない、他の人ができないようなことに挑戦して欲しいなと思います。大学生活はアッという間に過ぎ去っていきます。その貴重な時間の間に、一生懸命勉強して、それを何かの形に残すのでもよいですし、何かを企画して他のヒトを巻き込んでみるのでもよいです。大学生活を終えるころには、否応なしにヒトと比べられる世界に入ることになります。就職活動がよい例です。自分が秀でているのは何か、どこか他のヒトと違う優れた点なのか、具体的な例で示す必要があります。1つでも2つでも、自分なりのエピソードがあったらよいと思います。そのエピソード作りのために、ぜひゼミを使ってほしいです。目立たなくてもよいですし、どんな小さなことでも構いませんが、自分しかできないことを持っておくことはとても大事だと思います。

僕が大学生の頃、ゼミで友人を作り、掛け替えのない活動を行えたのかといえば、実はそんなにうまくできていません。引っ込み思案で自信がなくて、そんなことぜんぜんできませんでした(笑)。でも、だからこそ、学生の皆さんには頑張ってほしいなと心から思います。

ゼミは、おそらく大学/学部が提供している最も重要な付加価値を生む場の1つです。素晴らしい友人と巡り合い、かけがえのない活動を行える場に、ぜひしていきたいですね。




Photo taken at a building located in Toranomon, Tokyo, JAPAN

2016年8月28日日曜日

ゼミ生の期待はいろいろ


ゼミの選考にあたって、最近、凄く考えさせられているのがゼミ生の期待のコントロールです。他の学生と仲良くなりたいだけ、という学生がいるのと同時に、真面目に勉強したい学生、負担が重いのは嫌だという学生、思い出を作りたい学生、英語を学びたい学生などさまざまな学生が居てくれて、その期待にはできる限り応えたいな、と思っています。

学生にはサークルや部活、バイトなどゼミ以外のさまざまな活動があるため、ゼミに割ける時間はとても限られているところ、全員の希望を叶えるのは、程度にもよりますが、極めて難しい気がしています。全員に、同じことを、同じように提供していると、全員の期待は満たされないでしょう。ではどうするのかといえば、全員に最低限の機会を提供しつつ、さらに別なことに挑戦したい学生にはその先までサポートすること、になります。

僕の基本的な役目は、ゼミで新しいことをやりたいヒト、頑張ってみたいことのあるヒトを、平等にサポートすることだと思っています。こうしたいとか、ああしたいとか、問題あるとか口を出すのも大事ですけど(笑)、言ったからには、自分でやり切れる学生、自分で問題を解決できる学生になってほしいです。僕は、やる気のある学生や問題を見つけて解決したい学生をサポートしたいですね。

来年からは、3年生と4年生の2つのグループができるので、ゼミ生の期待もいろいろと変わりそうな気がします。


Photo taken at LKY School of Public Policy, NUS, in Singapore


ゼミの選び方について


ゼミを選ぶときに、先生に選ばれるにはどうしたらよいだろうか、などと悩んでいるかもしれませんが、実際のところ、本当は、学生がゼミを選んでいる側面が大きいです。ゼミの選考というのは、実は就職活動にしているかもしれません。よい会社に就職したい学生と、優れた学生を採用したい会社の関係、ゼミの選択や選考に近いものを感じませんか?

昔、就職活動をしたことがあるわたしは、本気で金融の世界に足を踏み入れようとしたことがあります。ちょうど、リーマンショックの頃です。そのとき、今でもお世話になっている金融の世界の先輩に教えてもらったのは、「就活ってお見合いみたいなもの。相性もあるし、選んでもらったところに世話になろう、そのくらいの気持ちでいなよ」ということです。企業分析や面接の練習をしたからといって、必ずしも希望の会社に入れるわけではないです。他方、自分が努力してどこかの会社に選んでもらえたら、それなりに理由があってのこと。そこで一生を終えるかどうかは別にして、一生懸命頑張ろうって思えるヒトと、思えないヒトの差は大きい。そういうことを、大学院生の頃に教わりました。

ゼミの選考は、就職活動ほどではないにしても、似た側面があります。どこでもよいけど入らないとダメなんじゃないかとか、入れても楽しくなかったらどうしようか、そもそもどのゼミがよいのかなって考えていないでしょうか。ゼミの選考というのは、学生にとってはもちろん、先生にとっても学生を選ぶことになる場合もあります。でも、そのような過程を経て、もしどこかのゼミに入れらとしたら、とそのゼミでの活動は、きっと貴重なものになると思います。

ゼミの選考は大事ですけど、大学生活のすべてではないです。それなりにゼミについて傾向分析をして、自分と合いそうな、そして自分が活躍できそうなゼミを見つけて、自信を持って応募してみてください。結果はともかく、きっと良い経験になると思います。就職活動と似ているなんて言う人はあまりいないかもしれませんけど、自分を良く見せる経験は、就職活動においてきっと無駄にはなりません。

皆さんが、僕のゼミであれ、他のゼミであれ、希望のゼミに入り、楽しい生活を送れるように祈っています。

Photo taken at a building, located in Roppongi, Tokyo, JAPAN

2016年8月25日木曜日

講義とゼミとの間の違いについて

講義とゼミとの間の違いは、学生1人あたりにかけられる時間と、グループワークの有無だと思います。講義は、毎回、学生にマイクを回して意見を求めるので、それなりにインタラクティヴではありますが、ゼミのように各学生に十分な時間を割くことはできません。また、講義ではグループワークの時間を設ける余裕がなく、出席してくれた学生全員に、できる限りマイクを回すので精一杯です。アメリカ法関連の講義以外にこのゼミを選ぶとすれば、それは時間とグループワークの機会を得る、それくらいしか付加価値はありません。

おそらく講義は、ゼミの雰囲気を十二分に提供していると思います。もちろん、講義は一緒に学ぶというよりも、教科書の内容を伝えることに主眼がありますけど、それでも一緒に学ぶような雰囲気を出せるように努力しています。そのため、医療と法を学びたいとか、何かしら特別な理由がない限り、講義だけ履修すれば十分だと思います。

講義を履修して、このゼミに関心を持ってくれる学生が増えてくれることはありがたいですが、講義+αを期待しているとすれば、時間とグループワークくらいしか付加価値がないので、どうかご深慮ください。

ゼミでは、一人一人の学生に、より時間をかけて法的な考え方や、文章の書き方、プレゼンテーションの仕方を学んでいただけるように、最善を尽くしたいと思います。また、グループワークでは、ゼミ生がまんべんなくさまざまな新しいグループで、忌憚ない議論ができるように工夫していきたいと思います。




Photo taken at a building in Hong Kong, CHINA



2016年8月24日水曜日

ゼミ生の選考について

ゼミ生の選考については、志望理由書と成績を考慮しつつ、最終的には面接で決定させていただきます。ゼミ生を選考するにあたっては、公平かつ平等に、このゼミで勉強するのに相応しい方々に来ていただければと思っております。

ゼミ生に期待するのは、何よりやる気です。担当者がそうであるように、大学生の頃に将来をすべて見通せるヒトばかりではありません。何やろうかな、何をやれば成功できるのかな、よい就職や素晴らしい将来を得られるのかな、というように悩みが尽きないでしょう。そのような状況で、どうして医療に関係する法政策を勉強しようと思ったのか、自分がこのゼミにフィットするのはどうしてか、どう勉強したいのか、ゼミで何を目標にするのか、自分がどのようにゼミに貢献できるのかなどなど、面接では詳しく伺わせていただきます。

このゼミの選考では、これまでの成績ももちろん評価させていただきますが、それ以上に、法的に考える能力について、センスを試してみたいと考えています。成績は、今後の努力でかなり変わりうるものですが、センスはなかなか変わりません。これまでの法学の講義において、そのセンスがどれだけ鍛えられているのか、確認させていただきます。

また、このゼミでは、従来のようにレジュメをまとめる作業を頑張ってもらうというより、短時間で考えをまとめ、その内容を紙に残したり、プレゼンテーションするような能力を養います。人前で話す機会もたくさんありますし、グループワークも毎回あります。今、引っ込み思案の方でも構いませんが、そのような活動に従事できるかどうかも、選考の判断基準とさせていただきます。

なお、第一期生となる現在のゼミ生(3年生)は16名で、男子が6名、女子が10名です。できる限り、男女比を揃えるように努力しているのですが、申請段階において男女比がずれている場合もあるため、一概に均等にできるとは確約できません。ご了承いただければ幸いです。

皆様とお目にかかれるのを楽しみにしています。


Photo taken at Hitachi Seaside Park in 2016, Ibaraki, JAPAN

2016年8月22日月曜日

ゼミ担当者の紹介

ゼミを担当するのは、青山学院大学法学部でアメリカ法を教えている者です。

東北大学法学部、一橋大学法学研究科修士課程を経て、アメリカのセントルイス(ミズーリ州)にあるワシントン大学ロースクールでLL.Mを修了し、東京大学で博士号を取得して、現在、主に青山学院で働いています。

専門は、医療分野の法政策ですが、それ以外にも最先端の技術と法規制について研究しており、最近では自動運転自動車の規制、遺伝子検査の規制、医療ロボットの規制についても研究しています。

もともと、医薬品や医療機器の製造物責任から研究をスタートしていますが、医薬品や医療機器が製品化されるまでには、製造物責任以外にも臨床試験、市販前承認/市販前確認/認証、市販後調査、保険収載/償還など各種ステージで法規制がかかわってきます。そのため、最初は製品の安全性を高めていくための法政策として、製造物責任と行政規制に関心を持っていたのですが、むしろ、医療関連製品の創出のための法規制一般へと関心が広がりつつあります。

医療分野は、医師という専門家が介在する領域で、必ずしも法的な規制が強化されればよい、という話ではありません。法は、ヒトの病気を治せませんし、瀕死のヒトの命を救うこともできません。法が可能なのは、医師や医療従事者に、さまざまな医療技術/医療関連製品を駆使して、診断、治療、そして予防サービスを人々に提供してもらいやすい環境を生み出すこと、ただそれだけに過ぎません。医療における法の力には限界があり、万能ではないということです。

人間にとってかけがえのない健康を支える医療、そして医療に関係する法について、皆さんとゼミで学べるのを楽しみにしています。



                         Photo by 今祥雄

2016年8月21日日曜日

ゼミにおける授業時間外の活動について

ゼミでは、授業時間外にもさまざまな活動をしています。強制的に参加させるのではなく、参加したい人が参加しやすいような形で、活動を続けています。

  1. ゼミ合宿(年1回または2回)
  2. 夏学期終了後のバーベキュー
  3. 青学のクリスマス礼拝への参加(2016年は12月17日(火))
  4. ゲストスピーカーセッション
  5. 各種交流会

このゼミは、2016年から開かれた新しいゼミで、歴史はまったくありません。さまざまな活動は、現在、ゼミ生と計画し作っている真っ最中です。ゼミの活動は、必ずしも強制参加ではないですが、一緒に計画し、参加し、反省して仲良くなること、そして、社会に出てから独りでもグループでも働けるような人材になることが期待されています。

このゼミでは、法的に考えられるようになって欲しいですが、それと同時に、周りの人から一緒に働きたい、と思ってもらえるような人間になってもらいたいと切に思っています。法律の試験で良い成績を取れることと、就職して活躍できることは必ずしも一致しません。法的に考えられる人でも、人間として魅力がなければ活躍できないかもしれません。ゼミにおけるさまざまな活動を通じて、ぜひさらに魅力的な人間になってください!

Photo taken at a building located in Sinjuku, Tokyo, JAPAN

ゼミの進め方

1.ゼミは、主に次のような形で進めていきます。グループワークとプレゼンテーションで構成されていますが、プレゼンテーションには、個人のものとグループのものがあります。
  • 1週間または2週間で1つの問題についてグループごとに意見をまとめてもらい、皆で議論します。
  • 1週間ごとにグループを変えて、さまざまなヒトからなるグループで議論してもらいます。原則、3名で1グループ、6つのグループを作ります。
  • ゼミ終了後、グループの中で選ばれた人(じゃんけんで負けた人など)は、グループの議論(途中経過でもよい)をメールで報告します。1つのグループ(じゃんけんで負けたグループ)の内容は、このウェブに掲載していきたいと思います。
    • 報告の際には、グループメンバーの名前(名字だけでもOK)、役割分担、論点、議論の結果、議論の方向性と中身の要約というフォーマットでお願いします。分量は、ミニマムでパワポ1枚、マキシマムで2枚とします。
    • 役割分担は、たとえばですが、タイムキーピング、メモ、司会、論点の分解や整理、リーガルリサーチなどいろいろとあります。毎回、異なるものに挑戦してください。
  • ゼミでの発言の仕方は、結論を最初に(yes or noとか、こうすべき、こうしないべきなど)、理由を簡潔にあとから述べるようにしましょう。理由についても、2つあるとか3つあるとか、事前に数を決めたりすると頭がよく聞こえますし、聞いている方も理解しやすいです。
  • 毎週、最初の5分間と最後の10分程度をプレゼンテーションの時間に宛て、できれば医療関係、みつからなければそれ以外でも構わないので、法律関係の疑問を自分なりに考えてみた結果を報告してもらいます。
    • 最初の「5分間トーク」の担当者は、ゼミの最後にじゃんけんで決めますが、1セメスターで1人1回を限度とします。ただし、5分間トークについては拒否できるものとし、拒否された場合には小職の方で進めます。
    • ゼミの最後の10分間は、30秒ないし1分間ピッチとして、個人でプレゼンテーションをしてもらいます。即興のテーマについて、話してもらいます。

2.ゼミで提示される課題への取り組み方
 ゼミでは、「法的に考えて、自分や自分の仕えるヒトのために法を使いこなすための訓練」を何度も繰り返し、楽しく行っていきます。どうやってやるかというと、下記のとおりです。
  • 言葉の定義を問い直す(言葉の意味をより明確にして、文言解釈で勝負できる課題なのか、そうではないのかを見極める)。
  • 憲法上の問題か、それとも条約、法律、政令、規則(告示)レベルの問題か、はたまたガイドラインのように強制力のない指針が関係している問題なのかを意識して回答する。
  • 必要に応じて関連条文を確認し、その解釈を示した判例があればより上級審の判例を、なければ所管行政機関の見解を調べる。自分たちの見解と同じならよいが、異なるのならば判例や行政機関の見解を批判できないか考える。
  • 相手方(自分とは異なる見解のヒトやグループ)から受けるであろう批判を想定し、その反論も用意する。
  • グループの見解を紙やファイルにまとめる。簡潔であれば簡潔なほどよく、ここでも結論が先、理由づけは後に記載すること。
  • 全部の問題を解こうとしない。できる範囲でよいし、できる問題から進めてくれればそれでよい。
  • 医療の指標=Access, Cost, and Quality
  • 医療の質の要素=Structure, Relationship, and Outcome
  • 生命倫理4原則=無危害、善行、自己決定、正義


Photo: taken from a building, located at Roppongi, Tokyo, JAPAN

ゼミの紹介

このブログでは、青山学院大学法学部における「医療と法を考える―医療にとっての法の役割」というゼミについて説明します。

「医療と法を考える」

ゼミでは、主に「医療」に関係する法令を扱い、法的に頭を使い、文章を作成したり、プレゼンテーションをする能力を磨くことにしています。法は、ありとあらゆることと関係していて、どの分野で活躍するとしても無視できない道具ですが、このゼミでは医療を題材にして、法を駆使するためのトレーニングをします。
医療にかかわる法や法政策は、極めて興味深いです。医療は、ヒトの「生」と「死」にかかわる重大な分野であり、弁護士と並ぶ専門家といわれる医師などの医療従事者が活躍しています。また、医師や医療機関と患者さんとの間には、情報の非対称性があり、医療分野には法的な規制が数多く存在しています。さらにいえば、自分や自分の家族が、医療における法的紛争に巻き込まれてしまうことも十分に想定できます。医療にかかわる法や法政策は、学生の皆さんの生活や将来とは切っても切れない関係にあります。
また、ゼミでは法的に考える能力、考えを簡潔明瞭に文章にし、口頭でも相手に伝えられる能力、そして何より、法的に説得力のある議論を深めて、自分の考えを相手に納得してもらう能力を磨きます。具体的にいえば、毎週ないし2週間で1問、法律問題を扱い、グループワークで検討の上、プレゼンテーションを行います。プレゼンテーションについては、個人のものとグループのものがあります。
ゼミでは、単に法律を学ぶというより、「法を自分や自分の仕えるヒトのために使える人間」を目指します。それは、就職活動ではもちろん、それ以外の人生においても必ず役にたつものと信じています。

ゼミの関連活動としては、ゼミ合宿(年1回または2回)、夏学期終了後のバーベキュー、ゲストスピーカーセッションなどを予定しています。




                     

                              Photo by Ryoma K.