2016年11月16日水曜日

医療と法を学んで何になる?-creative legal thinking for clients

このゼミは、医療と法を考えると題するものですが、別に医療分野で働く人を念頭に置いているわけではぜんぜんありません。医療は面白い題材として使っていますが、どの分野で活躍する学生にとっても、意味のある内容にしたいと思っています。

法的な問題はすべてパズルで、このゼミではこのパズルを自由自在に解く方法を学びます。パズルと言っても、ジグソーパズルとは違って、「言葉」を使った「高度なパズル」です。このパズルは、法学部で学んだり、ロースクールを修了しないと、そんなに簡単には扱えないのが特徴です。具体的にいえば、世の中のルールを見い出し、そのルールに事実を当てはめて、自分や自分の仕えるクライアントにとって望ましい結論を導き出していくパズルなのですが、このパズルを解ける点で、法学部の学生は他学部の学生よりも強みがあるのではないでしょうか。

このゼミで学ぶパズルの解き方は、ルールが憲法でも法令でもガイドラインでも構いませんし、社内規定でも応用可能です。当然ながら、医療に関係していても関係していなくても応用することができます。極めて重要なのは、ルールは「言葉」から作られていて、言葉の意味には必ず一定の幅があります。また、ルールには制定される目的があって、その目的の手段として使われます。さらに、言葉の幅は時代によって変わることがあり、目的からも変容していくことが十二分にあり得ます。さらに、法令であれば、最高裁が最終解釈権限者になりますが、他のルールだと誰かが最終解釈権限者になります。そして、最終解釈権限者が下した判決ないし判断を確認して、その射程がどこまでかを検討することになります。

最終解釈権限者が下した判決ないし判断を確認して、その射程がどこまでかを検討するのは、もっとも重要と言っても過言ではないです。ある判決や判断が下される前提となる事案の事実を把握した上で、将来起こりうるないし目の前の事案が過去の事案と同じなのか(同じルールが適用される程度似ているのか)、それとも別なのかを見極めなければなりません。裁判官のようにではなく、クライアントの最善の利益のための射程分析ができるかどうかは、きっと皆さんの将来を大きく左右すると思います。

ちなみに、このゼミではだらだらと報告書をまとめたり、長いレジュメをまとめるのではなく、ポイントを絞ってリーガルメモをまとめたり、プレゼンテーションを行う技術を磨きます。パズルが上手く解けてます、ということがわかる文章やプレゼンこそ重要だと考えています。






Photo taken at the Haneda Airport, especially 2nd Terminal, Tokyo, JAPAN