法学部にいて法律問題に答えがない、って聞いた瞬間に何を言ってもいいんだ、正解なんだって勘違いしてしまう学生がいますけど、ぜんぜん違いますよ。あるルールに事実を照らしたときに自分はAだと思うとします。相手は、A以外だと考えるかもしれません。同じ事実関係でも、関連事実の評価が異なるのかもしれませんし、自分がまったくカウントしていない事実を関連事実として重大視しているかもしれないです。そもそもルールの解釈が異なっているのかもしれませんしね。このような状況は、実務ではよく起こりますけど、答えがどちらでもよいなんてことはなくて、やはり、自分に有利な結果を得たいのが普通。どうします?
法学部にせっかく在籍しているなら、相手が展開してくる議論を先取りして潰してしまうことくらい考えましょうよ。相手は相手で、あなたの議論を予測して潰してきます。だって、それが法律論というか、ビジネスでは普通のことですから。相手の議論がもっともだ、と一応認めておきつつ(最初から否定しても構いませんけど、それだと相手が怒り出すかも)、しかし、こんな問題があって後からこんな重大な影響が出てくると不都合だから、今回はこの結論がベストなんだって言えた方が、明らかに説得的ですよね。
ゼミや講義で、さまざまな法律の解釈や判例を暗記するのは大事ですけど、暗記しても使えなければ意味がないです。はっきりいって無駄です。使えるというのは、諳んじて話せればよい、というのではありません。自分の周りにある法律問題を解決するのに、知識を応用できることを言っています。
どんあゼミに入ってもよいですし、どんな講義を履修してもよいのですけど、相手の気持ちや議論を予測してみたら、法律のお勉強はもっと楽しくなりますし、実務に出てからも活躍しやすくなると思います。
(A photo taken in Boston, MA, U.S.A in 2017)